た ページ16
「おいおいおい、俺たちも会話に混ぜてくれよ〜」
ケラケラと口をそろえた様に、彼らは笑い始めた。
するとそれを遮る様に、伊作くんは自身の懐に手を入れる。
きっと、暗器を取り出すタイミングを伺ってるのだろう。
私は走り出すタイミングを待っていた。
唐突に、山賊の頭らしい人が声を張り上げた。
「いいか、良く聞け！身ぐるみ剥いで金になりそうなものぜーんぶ置いてくってんならなぁ、命の保証くれぇはしてやるよ」
ニヤリとその男は気持ち悪い笑みを浮かべる。
「嫌なら…わかるよな？」
そう言った途端、伊作くんがその男めがけて飛び出した。
周囲の山賊達は、吸い寄せられるようにそちらを見つめている。
誰も私の事を見ていない。
今だ、今しかない！
私は学園へと走り出す。
「あっ、Aちゃん！」
「女よりもテメぇの心配しとけ、よ！」
金属のぶつかり合う音が背後からする。
私達を挟み込むように立っていた山賊の間を、私は無理矢理すり抜けようと速度を上げる。
案外簡単にすり抜けられるものだ。
私は全力疾走で山賊とすれ違い、学園へと急いだ。
はずだった。
ゴツゴツとした手に、ガッシリと手首を掴まれる。
途端、首の後ろを強く殴られた気がした。
「Aちゃん！くっ…なんでこんな時に！！」
「お前の相手は俺だろ？」
下品な笑い声が私の耳に木霊した。
フッと力が抜けた様に、体が急に重く感じる。
私はそのまま意識を手放した。
・
・
・
暗い森の中を、一人の男が歩き進めていた。
「おーい、伊作ー！ったく、どこに行ったんだ伊作は…。もう夕飯時だというのに」
ブツブツと文句を零しながらも、その男は同室である友人を探し続ける。
「伊作ー！いさっ…伊作！おい、ひどい傷じゃないか！何があったんだ！伊作！！」
「とめ、さぶろ、、」
弱々しく笑うその男は、ギリギリで意識を保っているようだった。
痛々しく血を滲ませた衣類は、若干裂けている。
「とりあえず、学園へ帰ろう。」
そう話した男は、傷だらけとなってしまった友人を抱え、学園へと走った。
それに安心したように、抱えられた男はクタリと全身の力を抜く。
「伊作…、すぐ新野先生に診てもらうからな。頑張れよ…。」
疾風のように駆けていくその男が目的の場所に着くまで、そう時間はかからなかった。
「新野先生！伊作を！」
ドタドタと廊下を走り、急いで保健室へ向かう。
「っ…善法寺くん！急いで治療しましょう…！」
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…！(滝夜叉丸くん良いですよね！短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (
レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました！お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください！（できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです！） (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…！ (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します！面白くてサクサク読んじゃいました…！！夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています！ (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：く〜ちゃん | 作成日時：2020年4月27日 2時
