ろ ページ2
「小松田さん。Aさんは僕が手当てをするために連れて来たんです。」
「えぇっ!どこか怪我を?!」
「それがわからないので、念のために」
ほわほわと微笑んだ善法寺さんは、私が持っていた筆を小松田さんへと返し、それではと学園の中へ入って行った。
その後ろを慌てて私は追いかける。
「Aさん、お大事に〜!」
名前を呼ばれた私はくるりと振り返り、こちらへブンブンと手を振っていた彼に手を振り返した。
そしてまた前を向く。
少し先で、善法寺さんが私を待っていた。
小走りで善法寺さんの方へと向かった。
「それでは、行きましょうか。」
木の廊下を二人で歩いていく。
目的地へはあっという間だった。
保健室と言う札がかけられた部屋の襖を、善法寺さんが滑らせる。
「乱太郎、ただいま」
「伊作先輩!おかえ…い、伊作先輩?そちらの方は南蛮の…?」
緊張させてしまったのか、眼鏡の小さな男の子は、やや語尾がたかぶった声を発した。
それに比例するように、私の心臓もドクドクと加速していく。
一つの疑問が私の頭を埋め尽くした。
ここは私の知っている世界とナニカが違う。
しかしながら、そのナニカが一向に分からない。
喉まで出かかっているはずのアニメの名前を、私は思い出せずにいた。
「南蛮の方、なのかな?僕も彼女の事は全然わからないんだ。道端で倒れていたから手当てしようと思ってね。乱太郎、念のため包帯だけ用意してくれるかな?」
「あっ!は、はい!!」
「ありがとう、乱太郎。Aさん、こちらへどうぞ。」
保健室の中へと私は促される。
善法寺さんの前に私は正座した。
大人しく、私は彼からの四診を受ける。
それといった身体以上が見受けられなかったのだろうか。
彼からの問診が始まった。
「どうして倒れていたのか覚えていますか?」
「住んでいた場所はどこですか?」
「普段はどのような職業を?」
ただひたすらに質問を投げかけられる。
私は正直に質問に答えていった。
しかしながら、答える程善法寺さんの表情は険しくなっていく。
「伊作先輩、包帯置いておきますね。」
間合いを見計らったように、乱太郎くんが声を掛けた。
「ごめん、乱太郎。新野先生を急ぎで呼んで来てくれるかな?」
そう言った彼の声は、とても暗く沈んでいた。
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…!(滝夜叉丸くん良いですよね!短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました!お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください!(できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです!) (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます!温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…! (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します!面白くてサクサク読んじゃいました…!!夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています! (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:く〜ちゃん | 作成日時:2020年4月27日 2時