ILLUSION44 ページ44
Aside
駅に着くと謙也さんが私のことを探していたらしく、「ちょっとええか」と呼び出された。
忍足「……財前とはちゃんと話ついたか?」
そう唐突に聞かれて戸惑った。
なにはともあれ私は結果的に財前を傷付けてしまったのかもしれない。そんな思いがまだ胸の内にあったからだった。
しばらく黙り込んでいた私の様子を見て謙也さんは励ますように私の頭を撫でた。
忍足「俺やって財前の先輩やからな。事情は少しは分かっとるつもりや。……財前は可哀想やとは思うけどあいつの言葉を借りるならま、しゃーないねん。Aが無駄に気負う必要は無いと思うで」
……なんかそんな風に励まされると逆に私なんてことしてしまったんだろう……って思ってしまうんだけどな……。
俯いた私を見て謙也さんは慌てだした。
忍足「ちょっ、そんなに落ち込まんどいてや!あー、もう俺こんな時にうまく言葉が出てこんのやから困るんや。ほら、泣かんといてや」
その謙也さんの慌てっぷりに思わず笑みがこぼれる。
その私の顔を見て謙也さんはにかっと爽やかな笑みを浮かべた。
忍足「お、笑ったよな?よかったわ。……もうすぐ電車来るみたいやからな、みんなのとこ戻ろか」
A「はい」
私と謙也さんは駅へ戻っていったのだった。
駅へ戻ると立海と四天宝寺のみんながそれぞれ別れの言葉を掛け合っていた。なんだかんだでこの合宿内容濃かったからな……。個性的なメンバーが多かったからか様々なスタイルの選手と当たれたのが良かったのだろう。
A「……ってもう新幹線見えてますよ!乗り遅れますよ!?」
皆『!?』
……ま、まぁそんな感じで四天宝寺のみんなとは別れたのだった。
ちゃんと新幹線には間に合ったそうで。よかった……。
その夜、私の携帯に知らないアドレスからメールが来ていた。
『財前っすわ。先輩、なんやかんやで微妙な別れ方になってしまいましたけどこれからは普通に知り合いっちゅーことでよろしくお願いしますわ。……未練がましいっすね、俺。先輩が悪い訳やないんでなにも気負わんどいてくださいね』
……財前、優しいな……。
財前が色々考え込む必要もないとは思うけど。
まぁ、こうして私には他校の素敵な後輩がまた一人できたのだった。
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アリス - 凄く面白かったです!ユウジがカッコ良かったです(*^^*)そして、光が切ない(泣)とても、文才がお有りですね!他の作品も、ぜひ読ませて貰います!楽しませて貰って、ありがとうございました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2016年1月11日 16時) (レス) id: 676688d4f0 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - とても面白かったです (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - 財前泣かせるねぇ〜とニヤニヤしながら見ていました(笑) (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 飛鳥さん» ……そ〜ですか(*^^*) (2014年9月15日 22時) (レス) id: d93ad0d912 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 海姫さん» すすろさんはすすろさんです (2014年9月15日 21時) (レス) id: ca6f00a121 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2014年7月17日 18時