ILLUSION43 ページ43
財前side
……なんで最後まで先輩は気いつかってカッコつけさせてくれへんのやろか。
A先輩が仁王雅治のこと好きだっちゅーことは十分分かっとったこと。
……でもちゃんとA先輩に伝えて後悔はしていない。
崩れそうになる顔。必死でいつもの表情に戻そうとしたがうまくやれているか自信はあらへん。
財前「……先輩、そろそろ駅に戻ったらどうすか?皆待ってると思いますわ」
A先輩は俺がそう言うてもどうすれば良いのか分からないと言ったような感じでその場に立っていた。
……早くどっかに行ってくれへんと……これ以上耐えられる気がせえへん。
財前「先輩、お願いですから……最後まで、カッコつけさせてください……」
なんとかそう言うとA先輩は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
A「……ごめんなさい」
そう呟いてA先輩は駅の方へと去っていった。
謝るのは俺やっちゅーのに……。
……先輩の気配が完全に消えたあと、頬を温かいものが伝うのが分かった。
自分の女々しさと情けなさを分かっていたからそれが涙ということに気付くのにそう時間はかからなかった。
……もし、俺が仁王雅治よりはよA先輩と出会えていたらA先輩は俺の方をみてくれたんやろか。もし、仁王雅治がいなかったら……。
そんなずるい考えが浮かぶ自分の頭が恨めしい。
路地の壁にもたれかかったままぼうっとしていると、よく知っている人がやって来た。
財前「……部長」
部長は恐らく俺の気持ちに気付いとったんやろう。そしてきっと今あったことの流れも分かっとるんやろう。俺の肩にぽんと手を置いた。
白石「財前。傷付けん様にするためによう頑張ったなぁ。偉いで」
緩んでいた涙腺がさらにゆるくなったのがわかった。流れてくる涙を止める術がなかった。
財前「部長……っ、俺……」
白石「……なんも言わんでええ。財前、お前はなんも悪ない」
そんなに優しい言葉をかけないで欲しい。普段の俺が崩れてまう。
しかし俺にはもうどうしようもなかった。
しばらく涙を流したあと、部長はハンカチを差し出してきて言った。
白石「ほな、そろそろ行こか。最後なんやから笑って行こ」
財前「……はい」
そして駅の方へと向かったのだった。
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アリス - 凄く面白かったです!ユウジがカッコ良かったです(*^^*)そして、光が切ない(泣)とても、文才がお有りですね!他の作品も、ぜひ読ませて貰います!楽しませて貰って、ありがとうございました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2016年1月11日 16時) (レス) id: 676688d4f0 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - とても面白かったです (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - 財前泣かせるねぇ〜とニヤニヤしながら見ていました(笑) (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 飛鳥さん» ……そ〜ですか(*^^*) (2014年9月15日 22時) (レス) id: d93ad0d912 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 海姫さん» すすろさんはすすろさんです (2014年9月15日 21時) (レス) id: ca6f00a121 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2014年7月17日 18時