ILLUSION38 ページ38
目が覚めた。目を開けると一面の白で埋め尽くされていた。
……どうやら保健室のようだ。少し前にも来たんだから確実だろう。ふだんは保健室なんてあまり来ないのに今日はやたらとお世話になるなぁ……。
何やら手に温かさを感じる。ふと右手の方に目を向けるとなんと雅治が手を握ってそのまま私が寝ていたベッドに突っ伏すような格好で眠っていた。
……えーと、どうしよう。起こすべきだよなぁ……まず私が身動き取れないし。今右手動かせないし。
A「……雅治、起きて」
そういうものの起きる気配がない。……それにしても雅治の寝顔めっちゃ麗しいな!
……野郎のくせに生意気な。
左手で雅治の頬をつねろうと手を近づける。
仁王「寝込みを襲う気かのう?」
A「……!?」
こいつ、寝たふりをしてやがった!
雅治はぱっちりと目を開け、にやりと笑った。
A「いや、寝ていたからちょっと懲らしめてやろうかなー……なんて」
そう見苦しい言い訳をすると雅治はやれやれと言った様子で溜め息をついた。
仁王「こっちはほんとに心配しとったというのにお前さんは……」
……そうだ。さっき気を失う直前、一体何が起こったというのだろう。ボールが飛んできた、ということしか覚えてない。
A「……誰がボール飛ばしたの?」
仁王「……顔が怖いぜよ。あのボールは金ちゃんじゃよ。あのあと幸村が金ちゃんに……お仕置き、してたのう。あれは怖かった」
……幸村のお仕置き、か……。それは怖いなぁ。別にそこまでする必要もないと思うんだけど。
仁王「……しっかし、お前さんが倒れたときは俺心臓が止まるかおもったぜよ」
急に雅治が真剣な顔をした。……そんなに心配させてしまっていたのか。申し訳ないなぁ。
A「……心配かけてごめん」
仁王「……お前さんはわかっとらんのう」
雅治は握ったままでいた右手をさらに強く握りしめていた。
仁王「お前さんは既に十分俺の中の大部分を占めとるんじゃ。恐らくお前さんが思っている以上に俺はお前さんのこと、好きぜよ」
突然そんなこと言われたらなんというか、反応に困る。顔がだんだん熱を帯びてくるのがわかる。
仁王「こんな俺じゃがたまに不安になるんよ。……お前さん、俺のこと、好きか?」
A「……っ、え……好きだよ」
自然とそう言っていた。……そして自覚した。
自分も思っていた以上に雅治のことが好きだったということを。
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アリス - 凄く面白かったです!ユウジがカッコ良かったです(*^^*)そして、光が切ない(泣)とても、文才がお有りですね!他の作品も、ぜひ読ませて貰います!楽しませて貰って、ありがとうございました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2016年1月11日 16時) (レス) id: 676688d4f0 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - とても面白かったです (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - 財前泣かせるねぇ〜とニヤニヤしながら見ていました(笑) (2015年11月11日 1時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 飛鳥さん» ……そ〜ですか(*^^*) (2014年9月15日 22時) (レス) id: d93ad0d912 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 海姫さん» すすろさんはすすろさんです (2014年9月15日 21時) (レス) id: ca6f00a121 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2014年7月17日 18時