君を笑かしたい！！[短編集]

<続き> ページ18

「俺やって、そんなはっきりかっこいいとか言われたら、期待するやん」

『え？』

期待するってなに？

真剣な顔で話す賢ちゃんに、頭が追いつかない

『期待するってなにを？』

「鈍感すぎやろ」

『待って、え、どゆこと？え、どういうこと？』

今もしかして、告白された？

「だから、俺じゃあかん？」

『それは、賢ちゃんが、彼氏になるってこと？』

「そうや」

『そんなん…』

賢ちゃんが私の事好きって、
そんなん絶対ありえんと思っとったのに
賢ちゃんにとって私は、ただの幼馴染やと思っとったのに

『そんなん、ええに決まってるやん』

「え？」

『実はな、彼氏と別れた理由、エムワンのことだけやないねん』

普段あまり、自分の恋愛話を人にしないこともあって、めちゃくちゃ恥ずかしい

『元々、価値観とかいろいろ合わんかったってのもあるんやけどな、1番の原因は私にあんねん』

いつもなら自然と目を合わせられるのに、どうしても賢ちゃんの目を見れなくて、不自然にそらしてしまう

『最近な、私おかしいねん。気がついたら賢ちゃんのことばっかり考えて、テレビで見る度に会いたいなぁって思うし、賢ちゃんのこと考えてると、ごはんも喉通らんくなる』

『今日も、久しぶりに賢ちゃん会えて、ほんと、泣きそうなるくらい嬉しくて』

『こんなんになるくらい好きになったの、賢ちゃんが初めてやで？』

賢ちゃんのこと好きになるなんて思ってなくてこんな気持ち、どうしたらいいか分からなくて困る

どんな顔していいか分からなくて、力無く笑ってみせると、賢ちゃんは優しく抱きしめてくれた

「俺も好きやで」

『私も、好き。だからっ』

言葉を遮るように賢ちゃんは私のおでこにキスをした

「俺と、付き合ってください」

私が言おうとしていたこと

先に賢ちゃんが言ってくれて

その顔が今までで1番くらい男らしくて

『好き』

それしか言えなかった

意味のわからない返事にも
「なんやねんその返し」
って彼は優しく笑ってくれた

<ぺこぱさん>→←<和牛 川西さん>

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す