君を笑かしたい！！[短編集]

<和牛 川西さん> ページ14

今はどのチャンネルをつけてもコロナの話題。在宅勤務は慣れないことばかりで大変だ

『んー、ちょっとだけ休憩しようかな』

仕事から少し離れると頭の中は彼のことでいっぱいになってしまう

『連絡してみよ』

スマホの画面を開ひらいて［元気？］と打ってみた

『変かな…』

用もないのに連絡するのは初めてで、なんて打てばいいのか分からない

3分くらい画面とにらめっこしていると、突然向こうからLINEがきた

『うわっ、めっちゃ秒で既読つけてまった』

突然現れた［Aー］の文字に焦って文字を打つ

［急にどうしたる］

『あー、誤字った……』

気づいた時には遅くて、もう既読がついていた

［どうしたる笑笑］

［どうした？って打ちたかったの！］

今度は落ち着いて打ち、送信しようとした時、

［今電話していい？］

いじるのもそこそこに、送られてきたメッセージに不安になる

［いいよ］

送信すると、すぐに電話がかかってきた

『もしもし？』

「もしもし、Aー？」

『Aですよー。急にどうしたん？』

「どうしたる、やろ？」

ケラケラ笑っている声に少し安心する

『もうええわそれ。で、ほんまにどうしたん？』

「いや、特になんもないねんけど」

『なんもないんかい』

やっぱり、賢志郎と喋ってると自然と笑顔になってる
すごいなぁ

「ええやろ。なんもなくても」

『実はな、私も連絡しようと思っててん。なんもないのに』

「知ってるで。めちゃくちゃ返信早かったやん」

完全にバレててちょっと照れる

『恥ずいわぁ…』

「可愛いなぁ、ほんま」

『なぁなぁ、会いたい』

会えるわけもないのに、つい本音がこぼれてしまった

「んー、俺も会いたいけど、今は我慢やな」

『せやなぁ…』

いつになったらおさまるのか、考えるだけで気が遠くなる

「いつかまた外出れるようなったら、どっか行きたいとこある？」

『そんなんいっぱいあるで？』

2人で行きたいとこ、やりたいこと、まだまだいっぱいある

「俺は、とりあえずお前ん家行くわ」

『泊まる？』

「泊まれそうやったらな」

『たまには私もそっち行きたいな』

「それもええな」

『次東京出張あったら泊めてもらおかな』

「一緒に東京観光とか出来たらええな」

『あー、ええなー！』

「じゃあ、早く会えるように、今は我慢」

『うん。ありがとう』

ちょっと話しただけで楽しくなる
彼がいれば、こんな大変な時期も乗り越えられそう

『賢ちゃん、ありがとうな』

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