【ONE PIECE】透明からどんな色に【サンジ】 (ページ10)

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定番でなくてもページ10

～Robin side～

「えェ？！チョコ作んないの？！」

それは、数日前の夜のこと。
ナミが今日のイベントに関して、Aに何気ない質問をしたことから始まった。

ナミがさり気なく、自然に話を持ちかけ、Aにどうするのか尋ねたところ、「作らない」と即答された。

「サンジと何かあったの？」

「い、いえ、何も…」

「じゃあ何で？！」

私がサンジと何かあったか訊いても、何故か不思議そうな顔で何もないと言われ、ナミが何でと聞き返しても、はっきりと返してくれなかった。

お節介かもしれないけれど、特別な日だからと説得して、何とか作ることは決まったけれど、私が訊いた時の不思議そうな顔が妙に引っかかっていた。

そして今日、渡しに行ったのか、起きた時には既にいなかったAを案じながら、ナミとダイニングへ向かった。
ドアを開けると、キッチンに佇む姿が目に入った。

「お2人共、おはようございます。」

「おはよう～。今日はAが作るのね、楽しみ！」

朝食を作るために来たのね。

取り敢えず、真剣に調理を進めるAの様子を見届けようと椅子に腰掛けた。
すると、作業する手を止めて、思い立ったようにAがダイニングを出た。

「何しに行ったのかしら…」

「さあ…でも、サンジ君に渡しに行ったとは考えにくいわね...」

と言葉を交わしてすぐ、Aは何かを持って戻って来た。

「A、それって…」

「お約束の品です。どうぞ開けてみて下さい。」

私達はてっきり、サンジに渡す物だと思っていただけに驚いた。
有難く受け取り、ナミと同時に開けると、そこには整然と並べられた、カラフルなチョコがあった。

呆気にとられていると、不安な表情のAがキッチンから顔を覗かせた。

「お、お気に召しませんでしたか...？」

「い、いや！すっごく素敵よ？！素敵なんだけど…」

そこで、あの時のAの表情に納得がいった。

あの時から既に、Aは私達全員に何か作ってくれようとしていたけれど、私達がチョコを作るように言ったから…
だからサンジ1人の名前を出した時、不思議そうな顔をしたのね...

「ごめんなさいA、私達勘違いしてて…余計なことを言ってしまったわ...」

「いえいえ、気に病まないで下さい。正直あの時も悩んでましたから、寧ろ決めて頂いて助かりました！」

そんなAの心遣いに、私は胸を痛めるばかりだった。