【ONE PIECE】透明からどんな色に【サンジ】 (ページ5)

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味ページ5

～Your side～

毎年ランダムで訪れる天気に、笑みを零す皆。
その様子を眺められる…これ以上の幸せはない。

1人眺めていると、彼と目が合い、すぐに側へ駆け付けた。

「Aちゅわ～ん♡寒くな～い～？♡♡寒かったら俺が暖めるから、遠慮せず言ってね～♡♡」

「だ、大丈夫ですよ、ありがとうございます。」

そう返事をすると、何か思い出したようににかっと笑った彼に、ある物を手渡された。
澄んだ青で、きらきらと輝いている綿雨だった。

その美しさに感銘を受けてすっかり忘れていたが、私は今まで綿雨を口にしたことがない。
今までは、母と集めた綿雨を島の人々に配っていたからだ。
それに、もう20年以上この新世界で生きているが、青の綿雨を一度も見たことがないのだ。

本当に此処ではよく珍事が起こるなと、思わず頬が緩んだ。

「青の綿雨はその1個だけで、折角だからAちゃんに食べてほしくて、アイツらから死守してたんだ。俺がAちゃんの側に居たい口実でもあるんだけど♡♡」

「態々ありがとうございます。折角死守してくれた物ですから、一緒に食べましょうか。」

「は～い♡よ～ろこんで～♡♡」

この半分に割る工程は何度も経験したが、そこから先は完全に未知の領域。
片方を彼に渡し、初体験からの緊張から生まれた固唾を飲み込み、綿雨を口にした。

食感はまるでクッキーのように軽い。
気になる味は……

『……しょっぱいな。』

想定外の塩気が押し寄せて来、早々に胃に流し込んでしまった。
驚きのあまり呆然としていると、口内の塩気が少しずつ変化していった。

それは甘味や酸味など、一言では言い表せない味。
唯一確かに言えるのは、とても優しい味だということだけだ。

「ただしょっぱいだけかと思ったが、いい味してるじゃねェか。」

「ええ、本当ですね。」

私は徐に、残った綿雨を齧った。

突如、1つだけで地に降って来た青色の綿雨。
気まぐれで此処に降っただけなのか、他の場所でも降ったのかは分からない。
けれど、今日この優しい味を知れたことは、私の中では大きな幸せだ。