【ONE PIECE】透明からどんな色に【サンジ】 (ページ21)

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手を繋いでページ21

〜Sanji side〜

普段通りの日々を過ごし、可憐な彼女とティータイムを過ごしていた時、紅茶を喉へ通す綺麗な姿を見ていると、徐にカップを置いたAちゃんに問いかけた。

「どうかした？Aちゃん」

「ああ、今ふと、手が気になって。」

「手？」

そう俺に見せるように手を広げた。
女性特有の滑らかさと水分を含んだ、綺麗な手だ。

確かに気になるよな…こんなに綺麗な手なら♡♡

「Aちゃんの綺麗な手だよ？♡」

「…昔、この手が本当に嫌いだったんです。」

所謂コンプレックスだったと言う。

平均より大きく、長い指。
ソアラさんの酒場で料理と水仕事を熟していたから、包丁の切り傷や火傷、肌荒れなんかにも頻繁になって、それにインクが垂れて滲みたり、ある山賊に襲われて銃で撃たれたりと、悲惨なことを舞い込む呪いの手に見えたと語った。

「今は、大丈夫？」

「ええ。この手のお陰で、今の作家の私があるわけですから、本当に感謝しています。切り落とさなくて良かった。」

「そうか…ってえェ？！切り落とそうとか考えてたの？！」

「ふふっ、冗談です。」

「そんなAちゃんも好きだ〜♡」

俺は無邪気に笑う彼女の手を取り、掌を合わせた。
俺と第一関節分くらいの差で、すらっとした長い指が柔らかい。料理をしてきた人間の手だと分かる、目には見えない経験の証。
それらが全部嬉しいと思う俺は、残酷だろうか。

「俺もAちゃんの手、好きだよ。俺とお揃いだし。」

「お揃い？」

「俺も前までは海のレストランで副料理長してたからさ、古傷とかも残ってるし。ほら、こことか。」

そう言って、出航前に見た親指の傷を見せた。
今は林檎の皮剥きで切るなんてねェが、見るとやっぱり思い出す。あの時のことを。
今思う。海に出て、夢を追いかけられて良かったって。
今後、脚も失わねェようにしねェとな。…クソジジイ

「手があると、こういうことも出来るんだよ♡」

「え、…？！」

合わせた手を少しずらして、彼女の隙間に、奥に差し込むように指を絡ませた。

驚いた顔も素敵だ...♡

「俺も、腕捨てずに済んで良かった…恋人に触れないなんて地獄にも程がある...」

「さ、サンジさん、料理は…」

「勿論そっちも大事だが、Aちゃんの隅々まで触れる手がない方が困るッ！」

「料理に重きを置いて下さいッ！」

大好きな彼女を笑顔にする料理を作れる手があることに、クソほど心の中で感謝した。