【ONE PIECE】透明からどんな色に【サンジ】 (ページ18)

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番外編：Red dynast ページ18

～Your side〜

「じゃあ、悪いがA、ルフィのこと頼むな？」

展望室で眠ってしまった船長と共に、急遽不寝番をすることになった。

今日…いや、つい30分程前までは、船長の誕生日だったのだ。余程嬉しかったのか、全員に向かって伸びた長い腕から暫く解放してくれず、彼はずっと笑っていた。それが何より嬉しかった。
喜んでもらえて何よりだったが、何故か急に展望室で寝ると言い出したのが10分程前。錨を下ろしているため、不寝番をする必要はないのだが、流石に放っておけず、不寝番を兼ねて見ていると名乗り出て、今に至る。

「でも、どうして展望室に…」

理由は分からないが、彼が何かを考えて出した結論なら、私はそれを決して邪魔はしない。だが、隣で、側にいるくらいは見逃してほしい。

「……ルフィさん、私を…海に連れ出してくれて、本当にありがとうございます。」

本当は昨日言おうと思っていたことを寝ている彼に呟く。

「皆さんの力になれて、仲間になれて、本当に嬉しく思っています。…けれど、だからこそ……不安になる。」

私は、皆さんのように強くない。知らないことも多い。それは、島の外のことだけじゃない…皆さんのことも、まだ知らないことばかりだ。築いた繋がりも、弱く、短い。……海賊王のクルーとして、務まる自信が、ない。

「私が……仲間になって、良かったんでしょうか…」

「何言ってんだよ。」

麦わら帽子の影から声が聞こえた。
当然、ここには私と、もう1人しか居ない。

「ルフィさん、起きてたんですか...？」

「今起きた…よっと。」

身体を起こしながら、帽子を被り直す彼と目を合わせられなかった。それでも彼は、私に変わらない調子で声を掛けた。

「俺は、適当にお前を選んだんじゃねェぞ？」

「勿論、分かっています。でも、特にこれから、私がお役に立てるか…」

「あ〜難しく考えんなよ！！俺がお前を仲間にしたくて、お前を選んだんだ！！役に立つとか、立たないとか、どうでもいいよそんなこと！俺が一緒に冒険したいって思ったヤツを、仲間にしてェんだ。」

本当しか知らない船長の真っ直ぐな言葉は、作家(わたし)にはとても書き表せない。
真っ直ぐな心から生まれる真っ直ぐな言葉は、決して曲がることなく心を打つ。

「だから、ずっと仲間でいてくれよ。そんで、昨日みたいに、皆で誕生日祝ってくれよ、な！」

「……はいッ！」

彼の心に応えるように、端的に真っ直ぐな言葉を返した。