【ONE PIECE】透明からどんな色に【サンジ】 (ページ17)

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番外編：Black music ページ17

～Your side～

3日間、食べて飲んでの大宴会が行われ、主役にも喜んでもらうことが出来たが、通して1番楽しそうにしていたのは、最終日の主役だった。

「いや～楽しい3日間でした！今日は私の誕生日を祝って頂いて、嬉しい限りです。」

「喜んで頂けて何よりです。」

ずっと笑っていて、演奏して場を盛り上げて、正に全身全霊で楽しんでいた。だからこそ、過去の彼が悔やまれるのだ。
一体、何度1人きりの誕生日を過ごしたことだろう…
一体、何度"仲間"の存在に思いを馳せたことだろう…

「今年はAさん達が居てくれて、本当に良かったです。」

「え？」

「皆さんと離れていた2年分の誕生日の穴埋めが、充分過ぎるほど出来ましたから。」

新世界(ここ)に来るまでの2年間、彼らは互いに遠く離れた場所で修行の日々を過ごしていた。
だが彼は、船長達と出会って間もなく、また離れ離れになってしまったのだ。
そんな時間を、私達が来たことで埋められたというのは、嬉しい反面、不安に似た疑問が浮かんだ。

「私、ここで誕生日を祝ってもらうのは初めてでしたから。だから、そんな初めての誕生日を、新たに共に冒険するAさん達を迎えて、そんなAさん達にも盛大に祝ってもらえて…これ以上、幸せなことがありますか。」

光る目は見えないけれど、表情の微細なところまで目を配れないけれど、その言葉の重みは、充分に感じることが出来る。
それは、彼だからこそだと強く感じさせられる。

「そんな大役を、露ほども知らずに買って出ていたということですか。」

「ヨホホ、引き受けて下さってありがとうございました。」

彼だけが作る笑みから、不思議なことに見ている此方が励まされ、満たされたような感覚になる。
私達が居ることで、孤独に染まらない、そんな笑顔を守ることが出来るなら───。

「来年も、その先も、私が死ぬまで、買って出て下さいますか？…って、私もう、死んでるんですけどね。ヨホホホホホッ！」

「勿論です。何年だって…死んでからも、お祝いさせて頂きます。」

これから先の未来の今日に、私もまた思いを馳せ、死後の楽しい世界を浮かべた。