離さない ページ20
〜貴方side〜
「うちの娘がすみませんね、ヒーロー。遊び盛りでケガが多いんですよ。困ったものです。」
疑う事なく笑顔で話し掛けた男…治崎に一瞬ぞくっとした。
恐らく治崎も、こちらの様子を窺っている段階だろう。なら、平常心でいなければ。
ふと横を見ると、感情が顔に出てしまっているデクと、デクに手を伸ばしているルミリオンの姿が見えた。
その時目が合い、彼に話を合わせた。
「こっちこそすみません！」
「娘さんでしたか。活発な子なんですね。」
何とか話を合わせているが、こちらの行動を怪しんだのか、質問がどんどん深くなっていった。
それにルミリオンも気付き、撤収する為の嘘を聞き、早く行こうと立とうとした時だった。
私達の腕の中に居た女の子が、ぎゅっとコスチュームを掴んだ。
小さな両手で、強く、訴えかけている。
「いかな…いで…」
苦し紛れに、やっと聞けたこの子の言葉に、声を出さずに涙を流すこの子の表情に、ぐっと胸が締め付けられた。
救けたい。
その言葉が真っ先に浮かんだ。でもここで妙な行動を取れば、ナイトアイ達の捜査の方で悪影響が出る。
分かっている。頭では分かっている。
だけど…この子に触れた手を、離す事が出来ない…離したくない。
救けたい。でも、どうすれば…
「あの…娘さん、怯えてますけど…」
震えながら声を上げた彼に、ルミリオンが声を掛け、撤収を要した。
だが、その呼び掛けに応じなかった。
デクと治崎の口論が始まったが、止める事は出来なかった。
私も今、同じ気持ちだから。
言葉が重なる毎に、掴む力が強くなっていった。
それに伴い、私はこの子の背中に手を置いた。
最終的には、私も熱が上がり、睨みつけていた。
そして、治崎は私達を人目につかない様、奥へ誘導した。それに恐る恐る付いて行った。
それらしき悩みを打ち明けたと思った時、填めていたゴム手袋に指を掛けた。
その瞬間、凄まじい殺気が襲ってきた。
それに気付いたのか、女の子は手を振り解き、走って行ってしまった。
殺気に即座に反応…
やはり、そうやって躾けてきたのか。
恐らくあの傷も…
デクの呼び掛けに応じる事も、振り向く事もせず、闇の中へ消えて行った。
辛うじて見えたあの子の顔は、先程までの感情を無理矢理押し殺した表情をしていた。
決して、小さい子がする表情ではなかった。
そして後を追う足を戻し、ナイトアイ達に連絡を取った。
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アルナ(プロフ) - (名前)さん» コメントありがとうございます！不定期ながら更新していきますので、これからも宜しくお願いします！ (2020年4月12日 20時) (
レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます！応援してます！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年4月12日 18時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - ユリさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！どんどん出せるように頑張ります！ (2018年11月24日 9時) (レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 面白いです。続きどんどんしてください。頑張ってください (2018年11月20日 7時) (レス) id: f266346369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルナ | 作成日時：2018年9月30日 17時
