【神童拓人】ある日恋に落ちたのは俺の〇〇でした (ページ42)

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拓人side34 ページ42

拓人『拗ねていない』

…と言ったら、嘘になるかもしれない

天ノ弱のような言葉で返す俺も、Aの事を子供だなんて言えないな

『絶対拗ねてるよ〜…ね、こっち向いて！』ぐいっ

そんな俺を自分の方に向かせようと引っ張るA

拓人『……』すっ

だが俺は腕を離した

『たっくん…？』

ぎゅ

今度は俺がAの掌を上に向けるように、腕を動かした。

『な、なに…？』

拓人『…。』

そしてAの手の上に俺の手が行くように、腕を伸ばす

『えっえっ！？』

パッ

『飴……？』

掌に用意していた物を落とすと、Aは手の上に置かれた物をまじまじと見ていた。

『ん？……ピンになってるの！？可愛い〜！』

飴の形をしたピンだと気付くと、Aはとても気の抜けた顔で笑った。

拓人『…ああ。』

『………でも、何で？』

拓人『…これは、喜んで欲しい』

拓人『そう思って、選んだ………//』

せっかくの初デートだ

俺はAに沢山喜んで欲しかった

『そ、そうなの…？//』

拓人『…』ｺｸﾘ

『…嬉しい。すごく嬉しいっ！ありがとうっ！！』

頷くとAは本当に喜んでくれているようにお礼を言った。

拓人『…良かった。』

『つけてみても良い？』

拓人『ああ。』

『どうかな？似合う〜？』

俺が返事をすると、Aはピンを着けて見せてくれた。

拓人『自分で選んでおいてだが、あまり似合わないかもな……』

『えっ！？お世辞でも似合うって言うところじゃない！？』

ショックをウケたような顔をしていたA

今日のAには似合わないとは思ったが、俺が言いたいことはAが悲しむような事じゃない

拓人『今日のAはすごく綺麗だ…』

拓人『だから、少し子供っぽいかもしれないな。』

『なっ、さっき小学生みたいだって言ったばかりだよ！？』

拓人『それは行動の話だ。…綺麗なのは、見た目の話だよ…//』

恥ずかしさを抑え、Aに伝わるように説明した。

『見た目…？』

拓人『ああ、その浴衣もすごく似合っている//』

『そんなに褒めても何も出ないよ？』

拓人『…本気だって言っているだろ。』

……どうやら、素直に受け取ってもらうことは出来なかったようだ

『か、可愛すぎる……//』

拓人『相変わらずだな…』

『ん？』

拓人『こんなやり取りを続けていたら、お祭りが終わってしまうな。』ぎゅ

相変わらず…そう思いながらもいつも通りのAにホッとした俺は、彼女の手を取り歩き出した