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水鳥「訳ありみたいだな」
「………。」
部活が始まると水鳥ちゃんが私の隣にピッタリくっついて座り、話しかけてくる。
水鳥「なあ、何か言ってくれよ〜…」
私はそんな水鳥ちゃんを無視し続けた。
水鳥「A〜？」
だって、何か話したら……
「泣きそう」
水鳥「は！？」
涙をぐっと我慢して発した言葉に、水鳥ちゃんは驚く。
葵「大丈夫ですか〜？」
水鳥ちゃんに反応したのか、葵ちゃんが心配そうに覗き込む。
水鳥「ああ…悪い。あたし達、ドリンク取ってくる！」ぎゅ
葵ちゃんにそう答えながら私の手を握る水鳥ちゃん。
葵「ありがとうございます！」
素直にお礼を言う葵ちゃんにグラウンドを任せ、私達はその場を離れた。
＿＿＿＿
水鳥「で？どうしたんだ？」
ドリンク置き場まで着くと、水鳥ちゃんが私に問う。
「…」
「何でたっくんってあんなにクールなんだろう…」
水鳥「は？」
私の言葉に呆れたような顔をする水鳥ちゃん。
水鳥「つーか、神童はクールでは無いだろ」
「そうだよね！！たっくんってクールじゃないよね！？」
水鳥ちゃんの的確な一言に反応する。
水鳥「お、おう…？」
「私がずっと見てたのは、泣いたり怒ったり笑ったり…」
「情緒不安定なの？って心配になるくらい、気性が荒いこだと思ってたし、そうだと思う」
水鳥「おいおい、あんなに可愛がってた神童のこと貶してんのか？」
「そんな訳ないよっ！！そんな所も大好きだよっっ！！」
水鳥「……？何が言いたいんだ？さっきから」
それこそ気性が荒い私に、水鳥ちゃんはついて来れなくなってしまったらしい。
「私の前では、いつもクールなの……」
水鳥「ん？」
「ちょっとだけ悲しい顔したり、ちょっとだけ怒ったりすることもあるけど…私の前では大声出して怒ったり、涙を流して悲しむなんて事はないの」
水鳥「ああ…」
「出逢ってからそんなに経ってないのもあるかもしれないけど…」
「でも、きっとたっくんは私に何の感情もなく接してたんだと思う。」
私の目には涙が浮かぶ。
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作者名：ふうあ | 作成日時：2020年3月15日 15時
