版権ぽっと出小説詰め合わせ (ページ1)

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龍宮の守り人【龍の歯医者】ページ1

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低く、しかしながら鋭い破裂音が狭い板張りの部屋に響く。
その部屋には人の体内を流れている液体が床に壁に天井に模様を描いていた。その液体の正体が血液なのは一目瞭然だろう。床に血だまりと空の薬莢を散らかしながら、二人は対峙した。そして一人が心ノ臓を撃ち抜かれ、勝負は決した。

そこで映像は途切れた。

「んあ、今日梅か。」

ピンク色のいかにも健康そうな歯茎の上で少女は朝焼けを眺めながら一人握り飯を貪り食う。前日の夜のうちに握ってもらった朝ご飯を朝焼けとともに食べるのが少女の日課でもある。丹精込めて作られたそれを米粒一つ残すことなく平らげる。最後にほっぺたに着いた一粒を口の中に押し込んで立ち上がる。＿＿＿龍の口が開き始めていた。

「A－！おはよー！！」
「野乃子！あんたは今日も早いねぇ～！」

年の近い歯医者＿＿本人曰くまだまだ一人前とは呼べないらしいが、それでも最初に比べれば確実に力をつけてきている。綺麗なグッジョブサインをもらい、改めて耳を塞いだ。

「さあ、今日も一日頑張りましょう…ッ」

Aと呼ばれた少女の言葉は空気を震わす轟音にかき消された。
龍の朝一番の鳴き声は、ここに棲む人にとって始業の合図でもある。

(１、了)