【リレー小説】スカイハイ転生学園！～職業体験編～ (ページ48)

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「礼～」
挨拶係兼日直の女子生徒の甲高い声を合図に、私達は一斉に頭を下げて声をそろえる。
　「有難うございましたー」
その覇気のない「有難うございました」を合図に、恐ろしい事この上ない授業参観が終わった。

帰りの会も、授業と同じく覇気のなく気だるげな声で終わった。
あっけなく。

朝、先生がやってきて一瞬で生徒たちが四散していったと同じくらいの速さで、みんな教室から飛び出し、親と一緒に校門へと向かって行った。

私の場合はどうかと云うと、親は今日は来ていなかった。
二人とも仕事のおかげさまでめちゃくちゃ忙しいからだった。
どれくらい忙しいかっていうと、陶器のお皿百枚洗ってくださいって云われた上に箒で玄関掃除してって云われた上に「ここまで一時間で終わらせてね」を×三倍したくらい。

だから、正直なところ今日は学校に行きたくなかった。
周りの生徒たちが羨ましいから。
親が来ていない私は、惨めに思えてしまうから。

そう思って思わず下唇をぎゅっと強く噛む。鉄の味がするが気にしない。
自分の行き場のない思いをぶつけるように、ぎゅっと先ほどより強く噛む。
鉄の味と痛みが弥増し、「う」と、思わず顔を歪めてしまった。
これくらいしか私にはできないのかなぁ…。
まだ滔滔とまではいかないが、それなりに出ている、下唇の血を、舌の先で突く。

ネガティブで真っ黒いマイナス思考が私の心を完全に支配しようとした時、なじみのある声が聞こえた。

　「ユノ、どうしたん？」
　「あ、マリィ！」
　 ☆★☆★

　「そう云えばさー、もうちょっとしたら考査じゃない？」
　「あ、ほんとだ」

マリィが道端の石ころを靴の先で突いて転がす。
私はゆっくり頷きながら、スマホにカレンダー画面を表示させ、マリィに「ほら、これ」と、画面に目を落とすように促す。

　「ほんとだ、あと二週間か…」

ぼんやりと呟くマリィの目は、なんだか遠い所を見るような目だった。