不確定な存在証明【雲隠在時】 ページ40
──しまったと、まず最初に思った。まさかこんなに堂々と攻めてくるなんて、考えてはいなかった。……正確には、考えたものを頭のすみに追いやっただけ、だが。
「マリィさんと緋魅くんはイズさんと一緒に一般人の避難指示を! 必要であれば彼らの援護を頼む。山口さんとユノさんは僕と一緒にオーバードーズの排除を。……無茶だけはしないように」
そう言えば、彼らはしっかりとした眼差しで僕を見て、強く頷いた。そしてすぐに行動に移しはじめる。それをみた僕も、2階から飛び降りる。ここに太陽はない。ならば、僕の魔法は使える。
「図書館では静かにしろ!」
習わなかったのか、と続けようとしたが、生憎
案の定、彼らはよりいっそう声をあらげ、僕の元へとむらがってくる。死ね、なんて汚い言葉を使うなよ。もっと詩的な表現だってあったろうに。
「大人になれよ。……夢なんて、見るような歳でもないだろうが」
魔法により強化された僕の体は反射的にきれいな着地を決め、群がるオーバードーズたちを一斉に追い払った。また彼らは集まるが、一部の遠距離魔法を扱うものたちは遠くへ離れる。……丁度本棚の前か。僕は自分の魔法を使い、彼等の背にある本棚を『存在しないもの』として存在させた。
「ユノさん、あそこにむけて魔法を使えるか?」
「え、でもあそこにはなにも、」
「いいから」
俺を信じてくれ。
彼女はそんな僕の気持ちを察したのか、真一文字に口を閉じゆっくり首を縦に振った。そして手を指鉄砲の形へ変えると、そこから魔法を放つ。水の魔法は綺麗に本棚がある場所へと向かい、しっかりと当たった。それと同時に僕の魔法を解けば、彼らは驚く間もなく本棚に潰される。死んじゃいないだろう。たぶん。
「助かった、ユノさん。礼を言うよ」
「先生のお陰ですよ」
そう笑う彼女の背後に、敵が現れる。まずい、と思い動けども、間に合わない。
「『駆逐艦島風』」
……僕がユノさんをかばう直前、敵は飛ばされる。山口さんだ。
「ごめんね、山口さん。僕が気を抜いてたから……」
「いえ、騙し討ちは私も嫌いですから」
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雨読@低浮上…?なのか?(プロフ) - まだ四十八話だったのですが、続編の考査編へ移行させていただきます!これからも宜しくお願い致します! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新しました。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新します。 (2020年7月10日 8時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - 更新しました。 (2020年6月30日 18時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - お久しぶりです。更新いたします。 (2020年6月30日 17時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/
作成日時:2020年5月12日 16時