検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:4,642 hit

不確定な存在証明【雲隠在時】 ページ40

──しまったと、まず最初に思った。まさかこんなに堂々と攻めてくるなんて、考えてはいなかった。……正確には、考えたものを頭のすみに追いやっただけ、だが。

「マリィさんと緋魅くんはイズさんと一緒に一般人の避難指示を! 必要であれば彼らの援護を頼む。山口さんとユノさんは僕と一緒にオーバードーズの排除を。……無茶だけはしないように」

 そう言えば、彼らはしっかりとした眼差しで僕を見て、強く頷いた。そしてすぐに行動に移しはじめる。それをみた僕も、2階から飛び降りる。ここに太陽はない。ならば、僕の魔法は使える。

「図書館では静かにしろ!」

 習わなかったのか、と続けようとしたが、生憎彼ら(オーバードーズ)の足軽(したっぱ)たちは無教養なものが多い。なるほど、それならば図書館では静かにしろと習わなかったはず。
 案の定、彼らはよりいっそう声をあらげ、僕の元へとむらがってくる。死ね、なんて汚い言葉を使うなよ。もっと詩的な表現だってあったろうに。

「大人になれよ。……夢なんて、見るような歳でもないだろうが」

 魔法により強化された僕の体は反射的にきれいな着地を決め、群がるオーバードーズたちを一斉に追い払った。また彼らは集まるが、一部の遠距離魔法を扱うものたちは遠くへ離れる。……丁度本棚の前か。僕は自分の魔法を使い、彼等の背にある本棚を『存在しないもの』として存在させた。

「ユノさん、あそこにむけて魔法を使えるか?」
「え、でもあそこにはなにも、」
「いいから」

 俺を信じてくれ。

 彼女はそんな僕の気持ちを察したのか、真一文字に口を閉じゆっくり首を縦に振った。そして手を指鉄砲の形へ変えると、そこから魔法を放つ。水の魔法は綺麗に本棚がある場所へと向かい、しっかりと当たった。それと同時に僕の魔法を解けば、彼らは驚く間もなく本棚に潰される。死んじゃいないだろう。たぶん。

「助かった、ユノさん。礼を言うよ」
「先生のお陰ですよ」

 そう笑う彼女の背後に、敵が現れる。まずい、と思い動けども、間に合わない。

「『駆逐艦島風』」

 ……僕がユノさんをかばう直前、敵は飛ばされる。山口さんだ。

「ごめんね、山口さん。僕が気を抜いてたから……」
「いえ、騙し討ちは私も嫌いですから」

後悔は空へ【山口海】→←こんにちは、英雄【遠江衛】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.5/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:スカイハイ転生学園 , リレー小説 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

雨読@低浮上…?なのか?(プロフ) - まだ四十八話だったのですが、続編の考査編へ移行させていただきます!これからも宜しくお願い致します! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新しました。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新します。 (2020年7月10日 8時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - 更新しました。 (2020年6月30日 18時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - お久しぶりです。更新いたします。 (2020年6月30日 17時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:スカイハイ転生学園一同 x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/  
作成日時:2020年5月12日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。