【リレー小説】スカイハイ転生学園！～職業体験編～ (ページ29)

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賑やかな八百屋兼魚屋・『すずらん』。
数人の生徒が職業体験にやってきていたのもあり、店内の賑やかさは普段より弥増していた。
魚屋の店主の燕子花鈴蘭の指導を受けながら、怨念の籠った目で魚をさばく男子生徒。
完璧な笑顔で接客をする、女子生徒。人生初のレジ打ちに戸惑っている男子生徒二人。
そんな生徒たちの中に、紛れ込むようにして彼女は立っていた。
彼女の名前は、燕子花向日葵。十七才の彼女は高校を休み、今は海外へ行っている両親が営んでいたこの『すずらん』の八百屋の方の店主を立派につとめていた。
向日葵は、額に右手を、左手を腰に当てながら、店内の中心辺りでただただ立ち尽くしていた。
　「………なんだろう、この胸騒ぎ」
彼女の口から、言葉が漏れた。先ほどから感じている胸騒ぎのせいだった。
何がおかしい。何か、大変なことが起きる。彼女の直感が、体の中からぐわんぐわんと警鐘を鳴らしていた。
当てている右手の隣を、汗が通過していった。
　「あのう、大根はどちらに…？」
おそらく客であろう、中年の女性が向日葵の強張った顔を心配そうに覗き込む。
一拍遅れてお客に気付き、向日葵は慌てて笑顔を浮かべた。
酷い笑顔になっていないだろうか、大丈夫だろうか。ああ、その前に大根の場所を案内して差し上げないと。
　「はい、今から案内いたしますね！」

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