佐疫*歌(2) ページ5
「え…?うん、いたよ。もう名前も覚えてないけど」
「…そっか。」
「…佐疫?どうしたの?」
佐疫は急にシュンとした。
「…いや、この曲が死んでしまった女性に捧げた歌なら、Aと付き合ってた人も歌ったのかなって……」
…
「……私は交通事故で急に死んでしまったし、私が死んだあと任務で現世行ってる時にたまたま彼を見かけたことあるけど他の女性と歩いていたから多分それはないと思うな。まぁ、真実は知らないけど。
私は今『あの世』で生きているし、この世界では、佐疫のことが好きだよ。
…だからそんな寂しそうな顔をしないで。」
そう言うと、佐疫は安心したような顔をし、私のことを抱きしめた。私も抱き締め返し佐疫の頭を撫でる。
普段余裕で優しくて獄卒一の秀才と呼ばれてる彼が嫉妬をするなんて想像が出来なかったため、少し驚いた。
普通こういうのって男性が女性をなだめるものかと思っていたが、そうでもないらしい。
「…A」
佐疫は私と目を合わせたあと、唇を合わせた
「…もし、もしもAが輪廻転生する時があったら俺にこの曲歌わせてね。」
「え…?」
「俺たちに死はない。あるとすればそれは死ではなく生まれ変わるときだから。
生まれ変わっても、また俺と会えるように歌わせて」
そう言って、彼はまた私を抱きしめた。
「…わかった、絶対歌ってね」
そう返事をし、私も彼のことをまた抱き締め返した。
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時