肋角*お疲れ(1) ページ32
「………」
カリカリと万年筆が走る音だけが走り、最後にぐっと判子を押す。
「肋角さん、こっち終わりました。」
「あぁ、すまない。」
ここ地獄では3月〜4月の季節の入れ替わり、お盆、年末が1番忙しい。
3月〜4月は死者が多く、お盆は悪さする悪霊が増え、年末は最後の仕事がドンと来るからだ。
今は年末。みんなここ最近まともに睡眠すら取れてない。
私も昨日は「この世」の任務だったが今日は上司であり恋人である肋角さんのデスクワークの手伝いだ。
「それが終わったのなら少し休憩しろ。2時間たったら起こす」
「…肋角さんは?」
「俺はまだ大丈夫だ。キリのいいところまでやる。」
「…そうですか。お先にすみません。」
「あぁ。」
目に酷いクマをつけた彼はひたすら万年筆を動かしたまま返事をした。
今は集中力が続いてるとこだから邪魔してはいけない。
だがあの調子だと別の仕事も進めそうだ。あの人のことだから。
そう思い、何かしてあげたいが、生憎自分も疲れている。
…休憩は2時間。ソファで眠ろう。
____
1時間半後
…目が覚めた。時間はあと30分あるが、二度寝したら起きない気がする。
「………」
ちょっとしたことを考えて、部屋に戻った。
「失礼します。」
「…あと30分ほどあるが」
「目が覚めてしまったので…あの、少しやりたい事があるんですけどいいですか?」
「あぁ、30分で終わるなら」
「ありがとうございます。」
私はソファに腰をかけ、膝をポンポンとした。
「こっちに寝転がって」と合図をする。
「肋角さん、もう8時間ほどぶっ通しでやっているでしょう。いくら鬼とはいえ、集中力もそろそろ切れているはず。この30分だけでもいいので休憩しましょう。」
「…これが終わったらとさっき言ったでは無いか」
「それ、もう別の仕事ですよね?」
「……バレたか」
「ね?少しでいいので」
「…30分後、必ず起こせ。」
「はい」
肋角さんは軍帽を脱いで私の太ももの上に頭を乗せて寝転がった。体が大きすぎてはみ出してるけど。
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時