田噛*風邪(2) ページ31
「…た、がみ…」
「そうだ。俺は母親じゃねぇよ」
「…なんで母親…?私今なんて言ってた…?」
「お母さんって呼ばれた」
「…ごめん」
「別に気にしてねーよ」
夢で握られた手は田噛だった。
ひんやりしていて少し気持ちいい。
「体調は?」
「さっきより楽かも…さすが抹本の薬」
「飯持ってきたけど食えるか?」
「…少し」
「そうか」
そう言ってご飯の用意をしてくれる田噛。
出されたご飯は、卵入りのおかゆとうさぎの形をした林檎。
「……」
「どうした、食わねーのか」
「あっ、いや、食べる!いただきます。」
もぐもぐとおかゆを食べる。
…食べたことある味だ。
優しい味がする
「おいしい」
「そーか。まぁ俺が作ったからまずいわけねーんだわ」
「えっ」
「あ?」
「田噛が作ったの?」
「そーだよ、俺が作っちゃ悪ぃかよ」
「…いや、田噛今日任務だったよね?」
「そうだけど」
「わざわざ任務の後に作ってくれたの…?」
「…あぁそうだよ」
田噛は少し顔を赤くしてそっぽ向いた
珍しいこともあるもんだ
「今日の田噛優しいね」
「なんだその言いようは」
「ごめんごめん、田噛はそういうの面倒くさがると思って」
「そうだな、他の奴らならやらねぇかもな」
「…それって…」
「…食ったなら早く寝ろ」
「ねぇ!続きは!?」
そう言って彼は食器片付け早々に出ていった。
仕方なく寝ると、次の日ベットの隅で眠っている田噛が手を握ってくれていた。
_____
風邪が治って、みんなにお詫びの菓子を渡すと佐疫が
「実は今回の赫坂の任務は俺たち行ってなくて田噛が全部行ってくれたんだよ。それも1日で片付けたって聞いたからお詫びなら田噛にしてあげて」
と言われた。
「…田噛!」
「あ?」
私は田噛に思い切り抱き着いた
「っ…いきなりなんだよ」
「…ありがとう……看病も、任務も…」
「…あー」
「大好き」
「……」
田噛は何も言わずに抱き締め返してくれて頭をポンポンと撫でてくれた
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時