佐疫*歌(1) ページ4
ピアノだけが置いてある音楽室に1人、私は歌っている。
ピアノは弾けないが座るところがないためピアノの少し広い席に座って歌う。
〜♪
私は生前好きだった曲を口ずさんでいた。
すると、
「赫坂、なに歌ってるの?」
ひょこっと、水色の目をした青年が顔を出した。
佐疫。私の彼氏だ。
「あ、ごめんね、盗み聞きしてたわけじゃなくて、たまたま聞こえてきたものだから」
少しびっくりした私を見て、佐疫は謝る
「ううん、全然。
歌ってたのは、私が生前好きだった時の歌だよ。題名は忘れたし、歌詞とかもところどころ覚えてないけど。」
「そっか、もう一度、歌って欲しいな、あまり聞けなかったし。」
そう、お願いされたから私はもう一度その曲を歌う。
この曲は、ある女性に恋をしていた男性が、死んでしまった女性に捧げた歌だ。
…好きな曲だが、さっきも言った通りところどころ覚えてないから少し恥ずかしかった。
それでも、
「いい歌だね」
と、佐疫は褒めてくれた。
〜♪
グランドピアノに設置されてる広めの椅子に、私の隣に座った佐疫は、さっきの曲に合うようなメロディを弾き始めた。
「…すごい」
災藤さんに習っているとは聞いたが、ここまでとは。
1度聞いただけで弾けるなんてもうプロなのでは…と感心していると
「なんとなくだけどね、ねぇ、それよりその曲もう一度だけ歌ってよ、今度は、俺のピアノと一緒に。」
そう言われ、私は佐疫のピアノと一緒にその曲を歌う。
歌い終わったあとに、
「ねぇ、Aは生前、死ぬ前誰かと付き合ってた?」
そう、急に聞かれた。普段呼ばない下の名前と一緒に。
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時