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田噛*風邪(1) ページ30

風邪を引いた。それも相当キツイやつ。

病院には行き、抹本の調合した風邪薬をもらった。
熱は1日で下がるそうだが、もう1日安静にするようにと言われてしまった。
先生曰く、疲れだと診断された。確かにここ2週間は働き詰めていた。

肋角さんに許可をもらい、休みをもらった。
私の分の任務はみんなそれぞれ分けてやってくれているらしい。
申し訳ないな…治ったらみんなにお詫びをしないと。


薬を飲み、安静にしているが、辛いものは辛い。
そういえば、獄卒になってから風邪なんて引いたことなかったな。
あぁ、そういえば明日は田噛と任務が終わったらご飯の約束もしていたのにこれじゃあ行けないや。


そんなことを考えながら、目を閉じた。


____

懐かしい、夢を見た

私の家は母子家庭だった。
母は一生懸命毎日働いていたが私が熱の時は有給をとって休んでくれた。
「私のせいでお仕事行けなくてごめんなさい」って謝ったら「風邪の時くらい甘えなさい」って返された。

「いつも仕事ばかりで、Aと一緒にいられない、お母さんの方こそごめんなさいね。
風邪が治ったらどこか遊びにでも行きましょうか」

母はそう言いながら、ふわふわ卵入りのおかゆとうさぎの形をした林檎を用意してくれた。
母の作るおかゆは優しい味がした。


私はこの次の週に交通事故で亡くなってしまったのをよく覚えている。


お母さんが、手を握ってくれている。
冷たいが、感触はある。

………お母さんって、こんなに手が冷たかったっけ…?
_______



「…お母さん」

「あ?」


目を覚ますと、私の彼氏の田噛がいた。

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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時

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