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木舌*宿泊(3) ページ20

「そういえば木舌さんの怖いものってなんですか?」「おれ?佐疫かなぁ」
「佐疫さん?どうしてですか?」
「酒呑みすぎだからって怒るんだけどその時の顔が本当に怖い。あと他にも銃でうち割ったり、外套に隠したりとか………普段は優しいんだけどその時は地獄の鬼の顔だよ…」
「…ふふっ、」

見たことないような深刻な顔して語る木舌さんが面白くてつい笑ってしまった。

すると、木舌さんがびっくりしたような顔をする


「…なんですか」
「…いや、笑った顔初めて見たなって思って」
「え」
「笑った顔、可愛いよ」
「なっ…!」

可愛いなんて、初めて言われた。

「お世辞言われても…」
「お世辞じゃないよ、本当に可愛いと思うよ」
「…っ」
「赫坂は綺麗な顔してるし、笑ってる方がいいよ」
「も、もういいです!寝ますよ!」

行燈を消そうとすると、いつの間にか嵐が病んでいた。あれだけ怖がっていた雷も、もうない。

「雨、止みましたね」
「本当だね、これで明日朝イチで帰れそうだ。」

窓を開けると、空に一面の星が舞っていた。
月も満月だ

「…綺麗」
「本当…。
…今気づいたけど赫坂の目って月と同じ色なんだね」
「…私の目、そんな黄色いですか?」
「平腹みたいなザ、黄色じゃなくて、金かな?すごい綺麗な黄色って感じがする」
「そんなこと、初めて言われました。」
「本当?じゃあおれが初めてだね」

…なんだろう、この気持ち
胸が高鳴る。顔に熱が集中する。

「…はやく寝ましょう」
「うん、おやすみ」

窓を閉めて行燈を消し、布団に潜る。
…離した手には木舌さんの体温が少し残っていた


_____

翌日、朝早く館に戻り肋角さんに報告をする。
今日はこのまま非番になった

「よーし、酒呑むぞー!」
「呑みすぎないようにしてくださいね」
「赫坂も1杯どう?」
「…私はお酒が呑めないので。昨日のお礼でお酌くらいならしますよ」
「本当かい!?女の子にしてもらえるなんて、、今日は高級酒を出そう…!」

そう言って、自室に酒を取りに行く木舌さん。
食堂で待ってようと思い向かったら、佐疫さんがいた

「あ、赫坂、戻ったんだね。木舌と2人きりで大丈夫だった?なにもされなかった?」
「はい、なにもされてませんよ」
「…なんか、表情柔らかくなったね」
「え?」
「そっちの方が素敵だよ」

そう言って去っていく佐疫さん
なんでだろう。木舌さんと過ごしてからだ。


…なんだろう、この気持ち。


私がこの気持ちを知るのは、まだ先のようだ。

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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時

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