【獄都事変】金色のあなたと、【短編集】 (ページ11)

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災藤＊髪(4) ページ11

そう言って、災藤さんは私のことを引き止めた。

｢今でもお前のことは愛しているよ。｣
｢…嘘、じゃあなんで髪切ってるんですか…
私は、ずっと伸ばし続けたのに……｣
｢…それはね……｣

すると災藤さんはおもむろに自分の髪の毛をガっと掴んで勢いよくずるっと下ろした。

バサッ

そんな音を立て。

｢…な…！？｣

長い長い、結ってある髪の毛が姿を現した

｢これ、すごいだろう、ウィッグというものらしい。
特注で、ネットを被らずともできるんだ。｣

サラサラと、灰色の髪が揺れる。

｢驚かそうと思ってね。少ししたら種を明かそうと思ってね。
だが、泣きそうになって遠くを行こうとしてるお前を見て焦ったんだ。すまなかった。

約束をした通り、10年間、私はずっと切らなかった。おかげで、この長さまで伸びたよ。

毎日毎日、お前のことを想いながらね｣

正直、このドッキリに関して本当に手が出そうだった。
…が、泣きそうな私はそれどころではなかった

｢…もう……！恋人を弄ぶなんて酷いです…！｣

ボロボロと泣きながら抱きついた

｢すまなかった。もうしないさ。

その長さ、とても似合っているよ。｣

災藤さんも私を抱きしめ返す。

この10年間、本当に長かった。
この髪が、想いを繋げてくれた。

｢A、愛してるよ。今までも、これからも｣

災藤さんはそう言って、10年ぶりに唇を重ねた。