田噛*ハンモック(3) ページ17
「…、おい、A」
「……た、がみ……」
「…なんですぐに起きねぇんだよ」
田噛はほっとしたような表情をする
辺りを見渡せば、既に夜になっていた。
「ごめん、寝すぎた」
「ほんとだよ。晩飯で起こしに来てやったのに、お前何度呼んでも起きなかったぞ」
「えっ……そんなに?」
最近寝不足だったからか、それともハンモックが気持ちよすぎたからか……とか考えてると
「…うなされてたぞ」
「え?」
「だからうなされてたぞ。ずっと変な寝言言ってたし」
「どんなこと?」
「『危ない』とか」
「………」
何か夢を見ていた気がするが、全くもって覚えていない。
「…ごめん、何の夢見てたか覚えてない」
「あ?」
「いやそんな不服そうな顔しないでよ、本当に思い出せないんだって」
「…チッ、あぁそうかよ、じゃあ早く飯食うぞ」
なぜ舌打ちされたのか………
私はストンっと降りて田噛についてく
「あー、でもなんとなく、誰か男の人と一緒にいた気がする。その人がどんなんだったか覚えてないけど。
あと白い子猫がいた気がする。」
「……そうか」
「……なんかあったら、すぐ言えよ。」
「え?」
そう言って私の手を引く。
どういうことなのか、全く理解ができない。
「田噛、全然話噛み合ってない気がするよ」
「あ?俺の前で知らん男の話すんなってことだよ」
「…?どゆこと?」
「…お前がわかんないならいい。」
「??」
結局、田噛の言葉が理解できないまま、彼に手を引かれる。
普段手を繋いでくれない田噛が繋いでくれている。
冷たくも、私よりも大きく、ガッシリした手。
それが嬉しくて、なぜか懐かしくて、悲しくて
「ねぇ、田噛」
「あ?」
「この手、離さないでね。」
「…あぁ。」
「あと、ハンモックでのお昼寝、よかったよ」
「…そうか」
そう、彼に言った。
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時