気になるあの人【角名倫太郎】 (ページ6)

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角｢おはようございます。何部ですか｣

『おはよう。何部だろうね』

朝練後、先輩がいる花壇に行くのが日課になった。

角｢いい加減教えてくれてもいいと思うんですけど｣

『いやいや、個人情報だから』

先輩は相変わらずの農家スタイルで花の世話をしてて、相変わらず所属する部活を教えてくれない。

教えてくれないのは部活だけで、クラスや生年月日、出身地や住んでる場所は何の躊躇いもなく教えてくれた。(標準語なのは高校入学前に引っ越してきたかららしい)

そっちの方が余程個人情報だろ。

角｢あんた本当変わってる｣

『スナリンには言われたくないね』

考えてみれば随分この人と仲良くなったな。

その証拠にAさんは俺のことをたまにスナリンなんて呼ぶようになってるし、俺も下の名前で呼んでる。

たまにタメ口になることもあるけど特に咎められることもなく、むしろ親睦が深まってる感じがして良いねってこの人は笑ったんだっけ。

角｢俺は普通です｣

『普通だったら毎朝こんな先輩のところまで通わないんだよ。
なのに毎日来るじゃん角名後輩。暇なの？』

角｢暇ではないかな｣

朝練からの1日授業、終わったらまた部活で暇な時間なんてほとんど無い。

角｢わざわざ暇作ってるんです｣

『なんで？』

角｢俺、Aさんのこと気になってるので｣

暇を作らないと、貴女に会えないから。

『はは、素直だね角名くん。スナだけに』

角｢馬鹿にしてる｣

『とんでもない』

最近、気になる人がいる。

双子の黄色い方の耳に入ったら面倒そうだし、誰にも言わないけど。

多分。