或る言葉、2 ページ6
「ところで」と博士が切り出す。
博士「お前さんたちはもう逃げる手段について決めているのかね?」
はたラク「いや、まだに決まっているでしょう。まだ、なにも始まってはいない」
博士「実はの、小生の部屋からガラクタにいつでも連絡ができるのじゃ。…………………もちろんお前さんたちも使っていい。…………………ゲッハを、もう少し泳がせようと思う。時が来たら、ガラクタたちに連絡し外部から革命軍を叩いてもらう。それと同時に革命軍内部から、小生たちも攻撃する。混乱に乗じて脱出しようというわけだ」
きたさ「なるほどな。それまでに力を溜め込んでおけばいいということか」
博士「それと、逃げる、逃げないの話し合いもいいのだが……………」
博士は、おもむろに腰をあげると、研究室の扉を開き、三人についてくるように言う。
博士「ここがどれだけ悲惨な場所かをお前さんたちに見せておこうと思ってな。なに、ここが墓場になる者も珍しくはない…………」
はたラク「そんな、墓場だなんて」
博士たちは綺麗に塗装された廊下を歩き、エレベーターに入り、地下へと移動した。
地下への道がエレベーターによって開かれた、その先には異様に薄暗い部屋が続いていた。
所々噎せ返るような薬品の香り、血なのか塗装なのか分からない腐った茶色のような壁、奥から聞こえてくる呻き声、同じ研究棟とは思えない違いだった。
博士「ここは、人体兵器の実験場じゃ」
きたさたちの顔が強張る。
博士「季曲のような兵器をつくるための薬や、拘束器具を作ったり、そもそも兵器のための人間を″開発″したりするのがこの施設じゃ。まぁ、普通のことは期待しないで欲しい」
ところどころ、まだ生きていると思われる人間の呻き声も聞こえてくる、この地下に埋められた巨大な棺桶にきたさたちは息を詰まらせるしかなかった。
進めば進むほど血のような、薬品のような、鼻に不快感をもたらす刺激臭が増していく。
一番奥の部屋は牢獄のようになっており、博士が扉を開けると、そこには山積みにされた薬品や、雑貨のゴミが積まれていた。
見れば見るほど、その不気味な光景に背筋を震わせるしかない。
その部屋の中を歩きながら、博士は「いるんだろう?生きているよな?」と見えないなにかに声をかける。
どうやら、このゴミ溜めのような実験室には、誰か被験者がいるらしい。
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作者名:キテレツ | 作成日時:2019年2月10日 14時