革命軍の季曲、3 ページ26
パノプ「こんなになるまで……疲れたろう」
季曲の足先はもう砕けていた。季曲の言う「総帥」になにかを施された後だろうか。よく見ると身体の至る所に注射針の跡がある。恐らく実戦投入されるまでに何度も「実験」をさせられてきたのだろう
ウェルもパノプも、この少年の惨状を憂いた。
ウェル「キングの能力だけじゃないみたいだね、この針の量……どうかしてるよ」
パノプ「ここに打たれてる薬品は能力を無理にでも活性化させるやつ、ここにある魔方陣は……これは、きっと総帥のだ。洗脳のためだな、僕もやられたからよく解る」
ウェル「ひどい……パノプは、どうして無事だったの？」
パノプ「僕は強化用被検体になれなかったんだ。構造が複雑で、全てを支配するための薬品、能力……色々がなかったらしい。だから最終的には自我が戻った。季曲、に関しては……怪しいな、足がもういかれてる」
パノプが砕けて黄緑色の鉱物のようになった足を見て言う。
パノプ「この脚……総帥の能力でこうなってたんだな。身体強化と過剰な忠誠心もこのためか」
ウェル「どうしよう、この子、ガラクタさんの所まで運ぶ？」
パノプ「……それしかない。リビディならこの子を治せるかもしれないからね、それに賭けるしか今は……」
「よくやったね。被検体03」
ウェルとパノプの頭上からキングではない新しい――――でもどこか聞き覚えのある声が聞こえた。
パノプ「お、お前は……」
「久しぶりパノプ。君がガラクタ側に行っちゃって凄く残念。申し訳ないんだけど、その子僕の管轄下なのよね、離してくれる？」
パノプはそれを否定する。
パノプ「なにが「その子」だ。被検体なんだろ？この少年を……ブリューナクみたいにするのだけはやめろ。あいつは機械置換されてもう戻れないところまでいってんのに―――
「おやおや、随分知ってるね。……季曲、迎えに来たよ」
その声に季曲は急に覚醒するとその男の顔を見るなり泣き出した。唖然とするウェルを押しのけて男は季曲を抱き上げる。
「今日の実戦は終わり。休んだほうがいい」
季曲はそれに力ない声で答える。
「……ごめんなさい、総帥……」
「いいんだ。…云い忘れてたね、僕の名は「Get Happy」、革命軍総帥。よろしく」
パノプ「クソッ！」
パノプが素手でゲッハに殴りかかる。ゲッハはそれを片手で止めた―――だけではなかった
パノプ「嘘……」
腕が、宝石に……！？
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作者名：キテレツ | 作成日時：2018年3月8日 9時
