地下都市、5 ページ17
パノプ「でも、僕はここにいてはいけない」
ウェル「どうして？」
パノプ「迷惑を、かけられない。それに、地上の生物とは慣れあってはいけないと、そういう掟がある」
ウェル「それはウェルもいっしょ。ウェルの一族も、陸の人間とは関わるなって。でも、世界が変わって荒廃の方向に傾いた。もう古い掟に縛られている場合じゃない。ウェルたちは陸の、地上の人間と関わり、手を組まずにはいられないんだ。そうしないと陸はおろか、ウェルたちの神領域までもが浸食され、ウェルたち神族の手に負えなくなる」
それのせいで手に負えなくなったんでしょ？あの地下都市は。
パノプは頷く。
確かに、地上の生物と全く関わらず、地下と地上、2つに分断した状態が続いた。
大昔は地上と協定を結び、安定した政治、経済で回っていた地下都市だったが、地上の生物のほうがそれを忘れた。
それから、地下は地下、地上は地上で生活するようになった。いつぞやか、地下都市に行くためのゲートも廃れ、今では封鎖されている。
そして地下都市は協定を忘れた地上の人間の身勝手な生活によって滅ぼされた。地上の人間も、地下都市のパノプたちのエネルギーを使っていることも忘れて。
パノプは、地上の人間と再び協定を結びたいという秘密があったが、一族にそんな話を持ち込めなかった。
それから何世代も続き、パノプたちの世代。
地上の人間が地下都市にやってきた。しかも、虫のいい話ごと持ってきた。
パノプは最初は疑ったが、最後の最後で受け入れた。これで夢が叶う。地上の人間と協力できる―――――――
そう思ったのが間違いだった。
その人間たちは革命軍だった。
パノプは父親を誘拐された。
そして、使ってみたかった能力と引き換えに、逆に「地上の人間に報復」する形を取ってしまった。
僕は地上の人間と協力したいのに。
どうして地上の人間を、曲たちを皆殺しにしてるんだろう。
歴史上は、地上の人間の生活態度を見たらパノプたち影の一族が地下都市から報復をしてもおかしくなかった。
でも、それはパノプの意思に反していたのだ……
パノプ「……僕は、地上の人間に報復などしたくなかった。でも、人形は己を苦しめるは人間だと。お前たちこそが悪の権化であり、僕を苦しめていると」
ウェル「ウェルは地上の人間じゃないから解らないけど、パノプも、言えばよかったんだよ。こんな生活じゃいけないって。武力じゃなくてさ」
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作者名：キテレツ | 作成日時：2018年3月8日 9時
