【Q|K】舞台裏、フタリゴト

※(続き) ページ11

「なんかルービックキューブ揃えただけで悪戯とか、僕に不利じゃない？」

　不服そうにこちらを見る河村。

「じゃあ45秒！せっかくだし、悪戯も45秒で終わらせよう」

「…本当に終わらせられるわけ？」

「ならきっちり『45秒』流すけど？」

「ムードもクソもないね」

　何言ってんだか。


「…始めて、どうぞ」

　どこからどう攻めるか考えていた矢先、河村の方からあっさりとシグナルを出されて少しだけ驚く。
　こういうのって、やられる側が主導権を握るもんじゃない。そんな常識をもどうでもよくさせてくれる彼はやっぱりすごい。

「…、わかった」

　いやいや、こっちが緊張してどうする。
　自分のスマホに手を伸ばし、音源を再生する。

――45秒で何ができる？

　音が流れると同時に河村の白い首筋に唇を落とす。

「ぁ、」

　横から攻められるのはこそばゆいようで、カクカクと動く頭が時折ぶつかってきて痛い。

――45秒で何ができる？ 君のことを考える事!!

　繰り返し、音を立たせながら口づけると、河村の方はぎこちなくも挑発的に微笑む。
　それは「もっと」って意味で間違いないかな？

――45秒で何ができる？ 動画編集はできません!

「かわむら、ちょっとここ失礼するね」

「……何これ…なんか怖い……」

　耐えきれなくて首に舌を伸ばすと、彼は戸惑いながら身を震わせた。
　その感覚、忘れないうちに。

――45秒で何ができる？ 君に「好きです」と伝える事!

「…好き」

「……、随分唐突…だね…？時間ないけど…、他は、いいの？」

　そんなことを聞く心の余裕もあるなんて、と半分感心してしまう。

――45秒で何ができる？ センター試験は終わりません!

「じゃあ…耳とかいっても大丈夫？」

「仰せのままに」

　…と言いつつ時間も残り僅か。
　河村の左の耳を甘く噛んだり、軽く舌を這わせてみたり。時短コースで精一杯愛撫する。

「や……ふく、ら…、」
　
　そのたびにピクピクと動いて真っ赤に染まる顔が何より愛おしい。

――45秒で何ができる？ 君の頬を赤く染める事!
　 その笑顔でまた惚れ直す事!

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