そして、少年王らは出会った。 (ページ9)

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episode 9 ページ9

チャグムは困惑していた。
精霊の卵を抱いたとき以上に困惑していた。

無理もない。

気づいたら見知らぬ場所に立っていて、妙な格好をした人がこちらに刀を構えているのだから。

チャグムは頑張って、何が起きたのか思い出そうとした……

数分前。

とうとう我慢出来なくなったチャグムは、側に控えていた近習のルィンを伴って例の場所に行った。

シュガに見つかると大目玉をくらうので、陰からこっそり見つめる。

何を言っているかまでは聞こえないが、３人とも変わっていなくて、チャグムは微笑んだ。ルィンはそんな主人を見て微笑んでいる。

するとその時、

ずんっ、という衝撃がチャグムを襲った。
立っていられず、思わず膝をつく。

「陛下！？」

慌ててルィンが駆け寄る。

向こうの方でも、バルサがいきなり膝をつき、タンダとシュガがそれはもう驚いて駆け寄っていく(バルサが何も無いのに膝をつくなど、彼らは見たこともなかった)。

そのまま、ふ…と視界が揺らいだ。

トロガイは唖然としていた。バルサと、彼女の近くにいたタンダとシュガ、そして、チャグムとその側にいた近習(トロガイは気づいていた)が、いきなりナユグの向こうに消えたのだ。

慌ててナユグを見る目を開いたが、そこに彼らの姿はなかった。

「まさか、『穴』でどこかに飛ばされちまうなんて！よほどのことがなければ、落ちることはないってのに……」

トロガイはぶつぶつ独りごちたが、はっと顔を上げた。

早くチャグムとシュガをこちらに戻さなければ、混乱が起きてしまう……！