そして、少年王らは出会った。 (ページ8)

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episode 8 ページ8

アルスラーンはその日、エラムと一緒に微行をする予定だった。しかしエラムに急用が入ったため、その時間があいたアルスラーンは、なんとなく中庭をうろうろしていた。

いつもは護衛としてジャスワントやら誰やらついているのだが、微行のつもりでいたので、珍しく側に誰もいなかった。

なんとなく中庭に来たのに理由はなかった。だが、最近なんだか中庭に惹かれるのである(しかしアルスラーンにその自覚はなかった)。

ぶらぶらしながら、アルスラーンはぼんやりと数年前に出会った金髪の少女のことを思い出していた。男名を名乗り、騎士になることを夢見ていた、頑固で真面目で優しい少女。

彼女は今、どうしているだろうか。無事にルシタニアで生活しているのだろうか。女騎士〈セノーラ〉にはなれただろうか。

とりとめもなくそんなことを考えていると、

「！？」

いきなり、目の前の空気が揺らいだ。

そして徐々に影のようなものが見え始める。

(暗灰色の衣のやつらか！？)

アルスラーンは剣の柄に手をかけた。

やがて揺らぎは収まり、数人の人影が、その姿を現した。