そして、少年王らは出会った。 (ページ25)

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episode 25 ページ25

「ジン！陛下と聖導師殿はいったいどこにおられるのだ！」

「呪術師たちもいないではないか！」

「よもやあの者達にかどわかされたのではあるまいな！？」

新ヨゴ皇国宮中＿＿

国のトップであるチャグムとシュガの不在がしれて、家臣たちが騒ぎ出していた。

事情を知っているとみなされたジンは質問攻めにあう。

(くそ…禊だとでも言って、しばらくはごまかせると思っていたが……)

先帝の時代であったならば、それでいくらでも不在を誤魔化せただろう。部屋に篭もりきりで祈祷したり、潔斎したりなど、帝が皆の前に姿を現さないことが多かったから。

しかしチャグムは、『帝は神の子である』という考えを全否定している。そのため、たまに禊をすることはあっても、祈祷やら何やら、帝を神の子たらしめることを一切行わない。禊だと言えばこの場はしのげるだろうが、長期間の不在は誤魔化せない。

しょうがないので話をでっち上げることにした。

「…実は、とある精霊が陛下に会いたいと思っていたそうだ。それで、気づいてもらおうと陛下に訴えかけていたのだと。」

話しながら人々の反応を伺う。未だ宮中には凶兆だ神の怒りだなんだと騒ぎ立てる奴らがいる。迂闊なことは言えない。

「なんでも、精霊の世界で冬の眠りから覚めた奴らが土から出てきて地に穴があき、それがごく稀に我々の世界に影響することがあるのだと。」

ここでちょっと聞きかじった事実をまぜてみた。

そして最後をもっともらしくしめる。

「それで、陛下たちは、民に万一のことがないようにと、実際にその穴のある場所を調べに行かれたのだ。」

その穴は本当はそこに開いているのだが、そんなことは言わない。

「なんと、1人の護衛もつけずにか！？」

1人がまなじりをつり上げたが、

「『短槍使いのバルサ』と大呪術師トロガイが一緒なのだぞ？そこいらの護衛よりも安全だと思うが。」

そう言うと黙った。

ここぞとばかりに続ける。

「新ヨゴの臣は、帝や聖導師がいなければまともな仕事が出来ない無能ではないだろう？陛下は民のためを思って行動なさっているのだ、我々も陛下の、民のために働こうではないか！」

「おお…」

柄にもないことを言ったと少し後悔したが、誤魔化せたようなのでよしとした。

しかし、さすがに何日も続くようではさすがにまずい。

今何が起こっているのか全く分からないが、いなくなった人々の安全と一刻も早い帰還を願うジンだった。