そして、少年王らは出会った。 (ページ23)

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episode 23 ページ23

「ではやはり、新ヨゴ皇国に帰るには、またナユグの穴を通るしかない、ということか」

頭を抱えたままチャグムが言う。

「そうなりますね」

ユグノが頷いた。

なんということだ、チャグムは心の中で独りごちた。正直に言えば、チャグムにとって今回のことはとても素晴らしくわくわくする出来事だった。遠い遠い異国の地を訪れ、今まで自分が全く知らなかったことも知ることが出来た。

そして何より、アルスラーンという、同年代の王と知り合うことが出来た。

数年前の、バルサたちとずっと一緒にいたいと泣いていた頃の自分なら、喜んでこの地に留まり続けただろう。

しかし今のチャグムには、国を導く責務がある。民のために生きる務めがある。

それを放り投げてのうのうとしていることは出来ない。

やはりどうあっても戻る方法を見つけなければならない、とチャグムは決心した。

「彼らは無事に故国に帰れるのだろうか…」

政務をこなしながら、ぽつりとアルスラーンは呟いた。

「ご心配なさらなくても、きっと今頃、何か策が見つかっていますよ、きっと。」

呟きを聞きつけたエラムが言った。

「ああ、そうだな。」

「ところで陛下、昨夜はチャグムさまとずいぶん長く話しておりましたね。」

「ああ、聞こえていたのか。」

「何を話しておられたんですか？」

「いろいろ、かな。過去に巻き込まれた事件、文化の違い、国政のこと…。やはり国柄の違いと言うのは面白いものだな。隣国のシンドゥラやトゥラーンとも様々な違いがあるが、やはり遠く離れた地だと違いも大きいな」

やはり似たもの同士だな、とエラムは思った。2人とも真面目で、国のことをよく想っていて、ひたむきだ。これがラジェンドラなどであれば、すぐに女の話を始めていただろう。

この2人も女性の話をしたりしたのだろうか、とふと気になり、聞いてみようと思ったが、やめた。

この王は、いつもいつも、ルーシャンやら誰やらが持ってくる縁談から逃げ回っているのだ。かといって、おしのびで町にでる時も女に声をかけることはないし、城中にはそもそも妙齢の女性は少ない。

恐らくはチャグムも似たようなものだろう、とエラムは思った(当たっている)。

それに、と、エラムは顔をしかめた。

万が一、あの生意気な騎士見習いの名前を出されようものなら、たまったもんじゃない。