浮気されてるので浮気しました。[HQ]

30*逃さないよ、どちらも。 ページ31

及川徹side



｢浮気してます。｣


この子、何言ってるの？
Aはそんな子じゃない。
騙されてるんだ。

組敷いたまま見下ろすAは、いつもの様なキラキラとした目を向けてくれない。


誰が、俺のAを、変えた…？


俺の浮気はAにバレている、Aは知っているらしい。
認めるつもりは無いけど。



｢ねぇ、A。｣


上体を倒し、横たわるAとの距離は完璧に０cm
耳元で囁やいてやれば、グッと身体に力を入れる。…耳弱いのかな。



｢俺はAが好きだよ。
誰よりも愛してる。
…何を言われても離す気は無いから。｣


顔を赤くしてこちらを見る濃紺の瞳は微かに揺れていた。俺の事を嫌いになっている訳ではない。


ここで抱いてしまおうか…



｢…今日は帰るね。
忘れないで、Aが何をしようと俺はお前を手放す気は無い。｣


｢…及川さんは何にも分かってくれない…｣



こんなに愛してるのになぁ。
少し甘やかし過ぎたのかもしれない。

明日からは…もう少し教え込まないといけないかな。


マンションを出て少し歩くと、見慣れた人物がこちらに向かって歩いてくる。


大きめのコンビニ袋を持ったソイツは俺を見て柔らかく笑った。
こんな顔で笑える奴だったんだ。



｢こんな所でどうしたんですか？｣


｢彼女の家の帰りだけど。｣


｢へぇ、仲良いんですね。」


｢お前は？こんな時間に何してるの？｣


帰る方向は俺と同じ。
本来ならばこの場には居ない。

ここ最近、校内でもよく会っていた…



｢俺は女の所に泊まりに行くんで。｣



こちらに向かってゆっくりと歩いてくるのが、何だか嫌だ。
後輩相手にこんな気持ちを抱くのは可笑しいし、コイツが誰と何をしようが俺には関係ない、のに。



｢女って…Aじゃない、よね？
国見ちゃん。｣

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