浮気されてるので浮気しました。[HQ]

17*知らぬ血色に創傷治癒 ページ18

｢…あれ、国見？｣


部活帰りにラーメン食って帰ってくると、自宅マンションから見知った後輩が出てきた。

今日は珍しく及川も一緒で、Aから連絡無いって慌ててたな。
…俺からしたら及川が慌てるのは知った事じゃない。




｢花巻さん、おかえりなさい。｣


｢お、おう。
…こんな所でどうした？｣


真顔と言うか無表情と言うか、何考えてるか1番分かりにくい後輩。
同じポジションだからそれなりに話すし、3年の中では懐かれているとは思っている。



｢Aのこと送った帰りです。｣


予想はしていたけど、やっぱりそう来たか。
何となくなここにいる事自体おかしいじゃん、逆方向だし。

弓道場から一緒に出てきたり、どこで接点があったのかはしらないけど、国見かぁ〜。



｢及川と付き合ってるって知ってる…よな？｣


｢花巻さんは、どう思ってます？
Aと及川さん。｣



口を噤む俺に、国見は薄っすらと笑って帰って行った。
あの後輩、こわい！なに？及川より怖くね？


そう思いつつ、マンションに入り隣の部屋をノックしていた。




顔を出したAはいつも通りで、まだおじさんは帰ってきていないみたいだ。



｢今日どうした？A居なくて及川心配してたぞ。｣


｢弓道してたら時間忘れちゃって…
及川さん怒ってた？｣


｢怒ってたって言うより拗ねてたかな。
下で国見に会ったけど、一緒に帰ってきたの？｣


｢…あ、うん。小説貸したよ。｣


困ったように眉下げて、彷徨わせた視線に違和感しかない。
Aが及川を好きで、及川は最低だけどAの事をちゃんと好きなのは知ってる。


ブラウスの隙間からしっかりと見える首筋の赤は誰のだ…？

指摘して絆創膏貼るように伝えれば、顔を赤くするから分かっていたけど傷では無い、な。



花巻貴大side.

18*虚偽の弁論術→←16*従順に教え込まれる

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す