34*最初から何も無かったように。 ページ35
｢A、おいで｣
有言実行と言うべきか、お昼を告げる鐘の音から、数分で及川さんが教室に来た。
いつもの人受けする笑顔の側に行くと腰を抱かれるから驚くも、彼は気にもせず笑っている。
｢今日は、お弁当無いので購買で買いたいです｣
｢OK〜俺もパンが食べたい気分だったから買いに行こっか。｣
人が混雑する購買前で待ってるように言われ、少ししてパンを手に及川さんが戻って来る。
私の分も買ってきてくれた事に素直にお礼を言い、外で食べよっか。と中庭に行くことになった。
ベンチに二人で並び、パンを食べ、パックのミルクコーヒーで流し込む。
…中庭でお昼食べたの初めて。
教室前の廊下から見えるから、及川さんが女の人と一緒に居るところは何度か見たことはある。
｢A｣
｢…はい。｣
｢昨日はごめんね。
ここも、痛かったよね。｣
絆創膏の上を撫でられる…
驚きと、こそばゆさにぎゅっと目を閉じた。
閉じている間にチュッと音を立てておでこに触れるから、また驚いて目を開けた。
｢痛い思い、させたくないのに本当にごめんね。｣
｢いえ、大丈夫です。｣
｢優しいんだね。
付き合って半年経ったじゃない、初めてあった時からお前が可愛くて仕方ないんだよ。｣
胸がギュッとなる。
優しい声と優しく撫でられる頭。
怒られるとビクビクしていた心は凪いでいく。
｢女の子にこんな風に思うのはお前が初めてなんだよ。
ずっと大切にしたいって。だからキスマークとか…まだ付ける気無かったのに、ごめんね？｣
｢…及川さん、そういう風に言って貰えて嬉しいです。｣
｢もう〜泣かないの。
これからは、もっと側にいたい。｣
抱き締める腕に大好きな匂いしかしなくて、それだけで嬉しくなってしまう。
二人は何も無かったかのように寄り添っていたのです。
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赤羽 - ストーリーの繋がり方神、！！一気読みしてしまいました！ (1月17日 21時) (
レス) @page50 id: 2ddbce4d83 (このIDを非表示/違反報告)
藤冬(プロフ) - 全員の感情の表し方とか、セリフとか選択とか、全部が好きで、ストーリーにどんどん吸い込まれていきました。こんな素敵な作品を、無料で読ませていただき、誠にありがとうございました。 (2022年3月22日 19時) (レス) @page50 id: 2d51c5e453 (このIDを非表示/違反報告)
ず(プロフ) - 面白かったです！！お疲れ様でした！ (2020年2月19日 21時) (レス) id: 766242871c (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 完結お疲れ様でした！夢主ちゃんもクズだったのが笑えました！！これからもがんばってください！ (2020年2月19日 20時) (レス) id: db0ac314d3 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - しぃらさん» 最後まで読んでくれてありがとうございます。後半は私自身も書いて消してと結末に凄く悩みました。演技派でクズな夢主ってウケ悪いかなと悩みましたが、喜んでいただけて私も嬉しいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: d3f4b94a5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年2月7日 19時
