浮気されてるので浮気しました。[HQ]

11*近所のお兄ちゃん ページ12

｢おーい、Aー！｣


ピンク色の頭が名指しで手を振りながら近付いてくる。
それに手を振り返し、私も側に寄った。


｢貴大君｣


｢弓道場行ってたの？
あれ、国見と友達？｣


なんて答えたら良いんだろう。
機転の利かない自分はフリーズしてしまうしかない。

それを察してくれたのか英が動いた。


｢チッ〜ス、花巻さん。
花巻さんこそ友達ですか？なんか系統が違う。｣


｢系統ってなんだよー
家が隣でAがこのくらいの時から知ってんの。なー。｣

｢うん、幼馴染なの。｣


｢そうなんスか。｣


そっか、貴大君と英は同じ部活なんだ。
私に及川さんを引き合わせてくれたのも貴大君。


及川さんが浮気してる事も知ってるのかな？



｢じゃぁ俺は教室戻るんで。｣

｢おう、また放課後な。｣


一度目が合えば、なんとも言えない気持ちになる優しい顔で離れていく。

毎日少しの時間だけど会って、世間話をして、キスをする。

話してみれば会話の波長が合うし、一緒にいて居心地がいい。



｢国見は友達？｣


｢…友達、だよ？
えっと…及川さん居た？｣


｢…あーどうだろ。
アイツたまに自主練してたりするから昼休みは見つけらんねぇんだよな。｣


｢…そっかぁ…｣


｢なぁ、A。
お前は今｢あれ？A?!｣｣


聞こえた声に振り返れば、及川さんと岩泉さんの姿。
隣が岩泉さんでホッとした。



｢ここで何してたの？
もしかして及川さんに会いに来てくれた？｣


嬉しそうな顔…
会いに来ても良いものなのかな？
急に来たらいつ誰といるかわからないから怖いけど。

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