第七話 ページ8
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「気付いたのね。」
鏡を見詰めて唖然としていると、ふと鏡に波紋が出て私をこの世界に送った人、侑子さんの姿が出て来た。次に合うのはもう少し先だとおもっていたけれど案外早く会えた。この人は何を考えているのだろうか、私をこの子にさせて、いったい何をしようとしているのだろう。
現実を受け入れ難く、縋るようにその人の名前を呼ぶ。
「貴方にはこれからシンディアとして生きてもらうわ。」
この世界で必要な知識と力はもう与えておいた、幸運を祈るわ。
そう言ってすこし哀しさを漂わせる眼で微笑みながらその人は消えていった。まだまだ聞きたいことはたくさんあったのに、これからどうすればいいのだろうか。
「ここは何処や…。」
聞き慣れた胡散臭い関西弁がわたしの耳に通る。孤独感に打ちひしがれる私は大好きな友人の姿を目に留めて思わず存在を確かめるようにぬいぐるみがもがくのも気に留めず抱きしめる。
「だ、誰や!」
「わたしだよ!さくらだよ」
するとケロちゃんは否定の声をあげてさくらはなぁ、もっとこう大人の色気が…。とか、不謹慎な事を言い始めるが後ろからの制止の声が上がり後ろを振り向くと銀色の髪をなびかせる男性が目を伏せて立っていた。
「説明しろ」
その目は訝しせげに眉を寄せ明らかに敵意が込められていた。それもそうだろう、身知らずの場所で身知らずの女が自分の大切な主を名乗っているのだから。
さくらは二人にすべてを話した。二人共伊達に今までさくらと共にいたわけではない、その瞳から、雰囲気からその子供が“さくら”だと言う事がわかり静かに事の成り行きを聞いていた。
「壱原侑子…」
「そいつは“次元の魔女”じゃないか?」
ユエのその言葉に首を傾げる。“次元の魔女”とは何なのか、さくらは“侑子”としか二人には伝えなかった。さくらもその名前しか知らなかったのだから。もしかしてケルベロスはあの人のことを知っているのではないか、そう思い問うと思いもよらぬ言葉が帰ってきた。
「そいつはクロウの知人や、わい等もあいつの事はようわからん。ただわかるのはあいつは変わり者っちゅうことや、願いを叶えたる代わりに対価をもらう。
せやけど可笑しい、なんであいつはわざわざさくらをこの身体に入れたのか…。」
まだケルベロスは何かを言っているけどそんな事はもうどうでも良かった、わたしはこの先ちゃんとやっていけるのか、不安でそのまま月を見上げていた。
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HARU(プロフ) - 音宮あおいさん» コメント有難うございます!最近忙しくてお話のほうも不完全燃焼が多くなって手抜き感がじわじわと広がっていくと思いますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - リンさん» はい頑張ります!!第二部のほうもちびちびやっていきますので、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
音宮あおい(プロフ) - はじめまして。さくらちゃんの本音がリアル過ぎて泣けてくるし、そんなさくらちゃんの心の支えになってくれてるケロちゃんが可愛すぎます!更新頑張ってください! (2015年10月1日 19時) (レス) id: e83c49882d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - ずっと更新待ってました!続きがきになります!更新頑張って下さい!楽しみにしてます(*´ω`*) (2015年9月24日 23時) (レス) id: 3f318786d5 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - 刹那さん» 私の小説を面白いと言ってくださる方がいるなんて…!歓喜極まります(*´ω`*)読者様のおかげで第一部完結することができました!レス遅くなってすいませんです…。 (2015年9月20日 20時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HARU | 作者ホームページ:http://artemis
作成日時:2014年4月4日 3時