第四話 ページ5
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意識を取り戻して、目を開く。そこに広がる光景は猛々しく燃える炎。
ここはどこだろう。
もう、友人や愛する人に会えなくなった悲しみからなのか、すでにわたしの頬はとても塩辛い涙に濡れていた。
めらめらと空へ火柱を立てるこの光景は大層幻想的である。手にはいつの間にか色とりどりの花束。日本ではなかなか見られる姿形ではないので、ここがどこか特殊な場所であるのは確かである。
ここが、私がこれから生きる世界。
でもこの状況は何なのだろうか。
「姫様、シンディア姫様」
聞き覚えのない名前だが、わたしは呼ばれた方に顔を向けた。嫌に無表情な女性が、南国的な衣装でわたしに花束を差し出した。
シンディア姫様、お母様との最後のお別れでございます。
わたしはシンディアと言う名前ではないし、ましてや姫様などと言う高貴な身分でもない。まあクロウリードの後継者と言う時点で凄いのだと思うが、未だにお姫様がいるだなんて、どんな世界なのだろう。混乱しながら、わたしは花束を受け取る。受け取って、これをどうするのか分からずに戸惑っていると、女性は目で火に焼(く)べろと合図をしてきた。
恐る恐る、わたしは花を火に焼べる。ゆらりと火の粉を巻き上げて、数十本の花は燃えてしまった。そこでやっと、わたしは周りが見えてくる。
「……ここ、一体どこ…?」
呟いた言葉に女性は怪訝そうに顔をしかめた。
燃えるのは、一人の女性の遺体。それを晴れやかな表情で眺めるたくさんの人々。シアン色の絵の具で塗り潰したような青空と、身を撫でていく、暑くからっとした風。
ここから、私の物語が始まる。
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HARU(プロフ) - 音宮あおいさん» コメント有難うございます!最近忙しくてお話のほうも不完全燃焼が多くなって手抜き感がじわじわと広がっていくと思いますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - リンさん» はい頑張ります!!第二部のほうもちびちびやっていきますので、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
音宮あおい(プロフ) - はじめまして。さくらちゃんの本音がリアル過ぎて泣けてくるし、そんなさくらちゃんの心の支えになってくれてるケロちゃんが可愛すぎます!更新頑張ってください! (2015年10月1日 19時) (レス) id: e83c49882d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - ずっと更新待ってました!続きがきになります!更新頑張って下さい!楽しみにしてます(*´ω`*) (2015年9月24日 23時) (レス) id: 3f318786d5 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - 刹那さん» 私の小説を面白いと言ってくださる方がいるなんて…!歓喜極まります(*´ω`*)読者様のおかげで第一部完結することができました!レス遅くなってすいませんです…。 (2015年9月20日 20時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HARU | 作者ホームページ:http://artemis
作成日時:2014年4月4日 3時