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第十六話 ページ17





 あれから半年が過ぎた。

 半年が経っても、向けられる冷たい感情に慣れる事は出来ない。どうしても、わたしはシンディアじゃないのになんて言う気持ちが、前に前に出てきてしまう。以前のシンディアとは明らかに違う行動に出ているつもりなのだけれど、誰もわたしと向き合ってはくれなかった。やはり、積もりに積もった怒りはそう簡単には拭えないのだろうか。否、最初に突き刺さる嫌悪感よりずっと鋭くさえ思える。まるでわたしがもっと悪い事をしているみたいだ。


 もしかして、最近、シンドリアの財政が上手く行っていない事と、関係があるのだろうか。バルバッドと言う国が、シンドリアとの貿易を絶ってしまったらしい。シンドバッドさんが近々、バルバッドの王様に抗議しに行くと風の噂で聞いた。それで、皆ピリピリとしているのかもしれない。

 わたしは実は王宮から出た事がない。堂々と国民の前に現れてしまうと大変な事になるから、外出が出来ないと言われた。それは不服だけれど、ここの人逹が本当はとてもとても優しいのは分かっている。そんな事は出来ないのだろう。

「あれは、スパルトスさんと、ジャーファルさん?」

 八人将の一人、スパルトスさんはとても生真面目そうな人だ。
 何か大事なお話をしているらしい。そう言えば、ジャーファルさんの顔がいつもより険しい気がする。

 いつものごとく腕に抱いていらるケルベロスが顔をあからさまに顔を顰めるのを見られないかヒヤヒヤしながら影からじっと捉える、不思議そうな視線に気付いたのか、彼はわたしに礼をした。スパルトスさんも、顔を伏せる。

「こんにちは。どこかに出掛けられるんですか?」
「ええ。シンがお前は働きすぎだと休暇をくださいまして。バルバッドとの事で手が離せないって言うのに」

 そこで気付く。ジャーファルさんの表情や雰囲気に、いつもの刺々しさがない事に。過剰ではないだろうか。そう思えてしまうくらいの嫌悪感やら憤怒の情を醸(かも)し出す彼であるのに、今日は全く刺すような冷たさがない。微笑もいつもより柔らかな気がする。


 前も、こんな事があったと思う。吐き出す台詞が茨で覆われていなかった事が。そう、あれは、わたしが国政の場に気付かず立ち入ってしまった時だ。あの時は特に気にしていなかったけれど、今ならはっきり違和感を感じ取れる。





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中途半端ですみません、

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設定タグ:カードキャプターさくら , マギ , クロスオーバー   
作品ジャンル:アニメ
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HARU(プロフ) - 音宮あおいさん» コメント有難うございます!最近忙しくてお話のほうも不完全燃焼が多くなって手抜き感がじわじわと広がっていくと思いますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - リンさん» はい頑張ります!!第二部のほうもちびちびやっていきますので、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
音宮あおい(プロフ) - はじめまして。さくらちゃんの本音がリアル過ぎて泣けてくるし、そんなさくらちゃんの心の支えになってくれてるケロちゃんが可愛すぎます!更新頑張ってください! (2015年10月1日 19時) (レス) id: e83c49882d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - ずっと更新待ってました!続きがきになります!更新頑張って下さい!楽しみにしてます(*´ω`*) (2015年9月24日 23時) (レス) id: 3f318786d5 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - 刹那さん» 私の小説を面白いと言ってくださる方がいるなんて…!歓喜極まります(*´ω`*)読者様のおかげで第一部完結することができました!レス遅くなってすいませんです…。 (2015年9月20日 20時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HARU | 作者ホームページ:http://artemis  
作成日時:2014年4月4日 3時

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