第十四話 ページ15
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あれからドラコーンさんに定期的に勉強を教えてもらう事になった。まだ浅いシンドリアの歴史から、この国の仕組みまで。こちらに来てしまうまでは、退屈に黒板と睨み合いをしながら学んでいたものに近いのだけれど、日本とは全く違う国風とドラコーンさんの丁寧で分かりやすいご教示のおかげで、勉強がすごく楽しい。
「最近、ドラコーンに勉強を教わっているそうだな」
「は、はい ……」
図書室からまた本を借りて自室へ運ぶ途中に、声が掛けられた。それはあのシンディアの母親の葬式の時に掛けられた声と同じ、とても透き通ったものだった。
声の持ち主は、彼女の父親である。長い絹糸のような菫(すみれ)色の髪の毛を揺らして、彼はジャーファルさんとマスルールさんを従えていた。穏やかな微笑は娘への愛情が秘められているかと思いきや、取って貼り付けられたものに過ぎず、ただそれは氷河のように冷ややかで恐ろしいものだ。
後ろにただ黙って従っている二人、特にジャーファルさん(マスルールさんは無表情で、感情が読み取りにくい)の目も、暖かな気持ちなど一切含まれてはおらずに、わたしの身体を射抜かんばかりの鋭さがあった。
「そうか。このまま励むと良い」
彼はそう言うと、わたしの横をすっと通り抜けていった。ジャーファルさんとマスルールさんは、わたしに小さく礼をして、シンドバッドさんの後を追う。
シンドリアにおいて、シンディアを一番嫌っているのは、他でもないシンドバッドさんだ。
表面的には安寧(あんねい)に接しているけれども、わたしにはよく分かる。
彼は一度も、娘の名前を呼んだ事がないのだから。
なんて悲しい家族だろう。母娘は父親を利用し贅沢三昧、父はそんな二人を嫌っている。あるのはどうしようもない憎悪と、血の繋がりだけで、わたしが与えられ続けられた家族としての愛情はどこにもない。
「……悲しいね」
まったくや。
誰も返ってこないはずの呟きに返答が返ってくる。服の隙間から黄色いぬいぐるみの頭が顔を出す。あわててその頭をぐっと持っている本と身体の隙間に隠して本が落ちないように気をつけふらふらと揺れながらだが急いで自室に戻った。
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HARU(プロフ) - 音宮あおいさん» コメント有難うございます！最近忙しくてお話のほうも不完全燃焼が多くなって手抜き感がじわじわと広がっていくと思いますが、これからもよろしくお願いします(*´ω｀*) (2015年10月4日 17時) (
レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - リンさん» はい頑張ります！！第二部のほうもちびちびやっていきますので、これからもよろしくお願いします(*´ω｀*) (2015年10月4日 17時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
音宮あおい(プロフ) - はじめまして。さくらちゃんの本音がリアル過ぎて泣けてくるし、そんなさくらちゃんの心の支えになってくれてるケロちゃんが可愛すぎます！更新頑張ってください！ (2015年10月1日 19時) (レス) id: e83c49882d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - ずっと更新待ってました！続きがきになります！更新頑張って下さい！楽しみにしてます(*´ω｀*) (2015年9月24日 23時) (レス) id: 3f318786d5 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - 刹那さん» 私の小説を面白いと言ってくださる方がいるなんて…！歓喜極まります(*´ω｀*)読者様のおかげで第一部完結することができました！レス遅くなってすいませんです…。 (2015年9月20日 20時) (レス) id: 1ddf4d0ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HARU | 作者ホームページ：http://artemis
作成日時：2014年4月4日 3時
