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「菊池くんの、お母さん？」
私の母の隣に写っているのが菊池くんのお母さんということは同級生だったわけだ。
というかこんなに仲良さげに写真に写っている二人。今までそんな話母から聞いた事ない。
といっても母の友好関係なんでほとんど知らないのだが。
「同級生なんだ…お母さん同士。」
いつのまにかディスクでパソコン作業をしている二宮先生は「奇跡じゃん。運命かな？」と笑っていた。
「知らなかった、全然。」
「俺も。」
「今日帰ったら聞いてみようかな。」
「うん。仲良いよね。きっと」
もう一度二人で写真を覗き込む。
周りにも何人か一緒に写っている生徒会で同級生らしき人いる。
でも私の母と菊池くんの母は特別仲が良さそうだ。
会長と副会長だったのかもしれない。でもそれだけじゃない特別感がこの写真だけで伝わってくる。見ているだけで幸せになれそうな、そんな形のないしあわせを感じる。形のないしあわせ。
「掃除、終わらせてってね？」
感動の再会じゃないけど、少しそんな雰囲気が漂っていた私と菊池くん。
雰囲気ぶち壊しの発言だけど、今の私たちには第三者の介入が必要だった。
「すいません。今やります。」
アルバムを元の棚に戻して二人で化学室の掃除をした。
なんとなく何も喋らずに二人で掃除をするのが心地よくて、必要以上に机を綺麗にしたりシンクを磨いたりしていた。
「いつまで掃除してんの？」
呆れた二宮先生が声をかけるまでずっと。
「え、もうこんな時間。」
時計を見れば掃除を始めてから1時間半以上かかっていた。
「いくら掃除丁寧にやっても成績あげないよ？」
「わかってますって。」
笑いながら菊池くんが言う。
「じゃあね〜ありがと綺麗にしてくれて。」
「もう次の掃除当番いらないですね。」
「当分な。」
少し埃で汚れたスカートを払おうとしてやめる。
「柏崎。」
「は、はい。」
「卒アルいつでも見にきてもいいから。」
「え？」
「だいたい俺ここいるし。あ、いない方がいい？」
「いえ、お気遣いありがとうございます。」
「じゃ、二宮先生さよなら。」
「菊池、気をつけて帰れよ。柏崎も。」
「はい、ありがとうございます。」
二人で化学室を出た。
さっきの卒アルの話はしていいのかしちゃダメなのか。なんとなく腫れ物に触れる気がしてなにも話さなかった。
そして迎える土曜日。
今日は約1日中菊池くんと一緒らしい。
と言っても学校でもほぼ1日一緒みたいなものだけど。
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作者名：日向(ひなた)
| 作成日時：2018年8月8日 19時
