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すっかり暖かくなった。を通り越して少し動けば汗が光る。そんな季節になった。季節は夏、と言っていいだろう。
菊池くんは半袖のカッターシャツになって、私も半袖のカッターシャツになった。そして胸元にはリボン。
男子の制服はノータイでいいのに、女子の制服はリボン着用必須という校則。髪色やメイクに関しては緩いのに、スカートの長さやネクタイに関してはなぜかこだわりがあるようだ。
もう少し暑い時期になると性別が煩わしくなる。女子だってノーリボンで。そう思ってしまう。
「あっつ。」
今日は菊池くんより早く学校に着いたらしく教室には誰もいない。
一人の教室にクーラーをつけるのを遠慮してしまう。しかし今から人が来ると思えば涼しくしておいたほうがいいだろうか？
と考えながら昨日染め直したばかりのチョコブラウンの髪をくるくると絡め取った。
ハニーブラウンからチョコブラウンに。
少しだけトーンが落ちた髪は気に入っている。
ハニーブラウンのままにしようと思っていたけど、美容院で色見本を見せられた時チョコブラウンと口が勝手に言っていた。後悔はしてない。
暑さに耐えきれずクーラーのスイッチを入れた時、前の扉が開いて菊池くんがやってきた。
「あ、おはよう。」
「おはよう。菊池くん。」
「あれ？染めた？」
「え、あ、うん。あ、菊池くんも？」
「あーうん。一昨日ね。」
金曜日まで黒髪半分、菊池くんこだわりのチョコブラウン半分。といった髪型だった菊池くんは、今日は少し明るいトーンのブラウンになっていた。
「ちょっと暗くしたんだね。清楚系って感じ。」
「別に目指してないけど。」
「それ、何色？」
「え？」
「清楚系の髪。ダークブラウンくらい？」
「あ、いやえっと。」
「うん。」
菊池くんはツンツンと少し明るくなった自分の髪を触りながら聞く。
「…チョコブラウンに、した。」
菊池くんの髪色だった色を告げた。
今は私の、髪色。
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作者名：日向(ひなた)
| 作成日時：2018年8月8日 19時
