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私の恋愛嫌悪も、菊池くんの恋愛嫌悪も もちろん治らないまま
教室に2人。
何をしているかというと、中間テストの勉強中。
「菊池くん…その数学…テスト範囲のやつじゃないよね？」
菊池くんは数学のプリントをたくさん出してカリカリとすごいスピードで解いていたけれど…
よくみたら全然見たことない記号だらけ。
「数学オリンピックのヤツ。」
「やっぱり。」
「Aは、全然ペンすすんでないね。」
「苦手だから…数学。」
静かになった。私も菊池くんも黙った。
シーンとうるさいほどの静寂が流れた。
私はそっと菊池くんのほうを向いている。
「教えてください。って顔してるけど合ってる？」
「え、そんな顔してない。けど…」
「けど何？」
「教えていただけるなら、嬉しい、です。」
最近は菊池くんの時間を奪うことに抵抗がなくなった。
傲慢だと祝えてしまうかもしれないけれど、菊池くんも私ん時間を奪ってくるから。
「教えるの下手だけどいい？」
「…頑張ります。」
菊池くんはぐっと身を乗り出して、私の机の上のプリントを見る。
「これ、基礎の基礎の基礎なんだけど…わかんないの？」
ありえないっていう顔をしている菊池くんに、遠慮がちにコクリとうなずいた。
「わかった。最初からやろう。」
そのあとは本当に本当に丁寧に教えてくれた。
「教えるの下手」と言っていた菊池くんだけど
数学のおじいちゃん先生よりも何倍も何倍もわかりやすかった。
数学を教えてくれている最中の菊池くんは
「数学の授業中何聞いてるの？なんも身になってないじゃん。」
辛辣な発言をたくさんした。普段はそんな毒々しい発言はしないのに。
「ごめん。ちょっとキツくいいすぎた。」
言い過ぎたらちゃんとお詫びをしてくれるのが菊池くん。
私はそれに
「全然理解できなくてごめんなさい。」
ちぐはぐな返しをした。
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作者名：日向(ひなた)
| 作成日時：2018年8月8日 19時
