【アレスの天秤】②伊那国島の“奇跡”と呼ばれた天才少女 (ページ1)

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　3ー2

　ナミの必殺技のシュートは
　ゴールを守ろうと必死に頑張っている帝国学園の選手を器用に避け、
　さっきからごちゃごちゃうるさい
　へにょへにょキーパーの顔面にクリーンヒットした「ぶべっ」

「ぇ…」

　帝国のメンツは固まった
　ナミは、あっかんべーをする

『ぜんはんからむかむか！キーパーはみんなのたいせつなものせおってるの！あなたにそれをまかせてるの！それもできないひとは、そこにいちゃだめなのっ』

　ナミは、べーと舌を出した

「…！」

　佐久間はその言葉を聞いて目を見開いた
「フッ…そうか、ありがとう」と小声でお礼を言う
　その口角は上がっていた

「ヒューいかしてんな」

　不動は口笛を吹き、
　ナミを褒めた

「おやおや、やってくれましたねぇ」

　雷門の監督でもある彼はニヤニヤしていた
　帝国の影山は「無駄がはぶけた」と呟く
　そして影山は帝国のスパイクをもとのものに交換した

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「なるほど。僕が気に入っていたのはそういうところだったか」

　観客席にいた野坂はどこか嬉しそうだった

「(君の正義感溢れるところが好きなんだね僕は…)」

「(野坂さん…)」

　西蔭はどこか表情が明るい野坂を見ると
　ナミのほうに視線を向けた

「(あなたと一緒ですよ、彼女は…)」

　西蔭の目にも彼女が、
　大きな眩しい存在として映し出され始めていた

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