初恋の続きを君に《Sho.S》 (ページ16)

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聞こえちゃったページ16

恐る恐る櫻井さんを見上げると、
今まで見たことない顔をしていて。
思わず目をそらしてしまった。

わしゃわしゃ、と頭を撫でられる。

『ごめん、なんかちょうどいい位置に頭があったからつい…』

ぱっと手を離した櫻井さんが、
いつもの顔に戻って言った。

「そ…そうなの？
　クラスメイトには小さいって言われるけど、
　ちょうどいいって言われたの初めてだよ」
『ごめんごめん、いってらっしゃい。
　帰ってきたら声かけてね』
「はーい」

慌てて先生のあとを追いかける。

『あ、見学のカード貰った？
　じゃあ行きますか！』
「よろしくお願いします、先生」

先生の説明を聞きながら思い出す。

櫻井さん、私聞いちゃったの。
いや、聞こえちゃったの。

あのあと櫻井さんが、
小声で『上書き』って言ってたこと。

先生が私の頭を撫でたの、見てた？
先生の手を上書きしたかった？

考えれば考えるほどわかんない。

でも、
こんなこと考えてる自分が一番わかんない。

『でね、ここが…ってAちゃん？』
「あ、はい！」
『どうしたの？』
「いえ、なんでも」

先生がニヤリと笑う。

『顔。真っ赤ですけどー？』
「…へっ!?」
『じゃあ次ね、ここが打ち合わせスペースでー』

なにも言わないで説明を続けた先生は、
もしかしたら気づいてたのかもしれない。

私以上に、私の気持ちを。