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「あの、櫻井さん」
おそるおそる発した俺の言葉に、櫻井さんが頬杖をついた姿勢で、ん？と眉を上げる。
…なんだろ、ほんとひとつひとつの仕草がなんでもかっこいいんだよなぁ、この人。
「転職のお話、すごく嬉しいです。俺、依存症のせいでこうやって誰かに求められることって今までなかったから…」
「悪いことは言わない。お前が成長できる仕事だと思うし、俺ならお前と上手く上に行ける自信がある」
意思の強い眼差し。余裕のある口元。
人の上に立つ人ってやっぱりこういう人が相応しいんだ、きっと。
「ありがとうございます。…っ、でも、俺のことを認めて、受け入れてくれたのは今の家政夫って仕事が初めてだから…」
依存症のせいで今まで仕事を全部クビになって。
そんな俺を受け入れて、雇い続けてくれてるのは今の屋敷が初めてで、だから…
「俺のことを求め続けてくれてる限り、俺はこの仕事を自分から辞めることはしたくないんです。もちろん、秘書の仕事に興味あるしやりがいはあると思うんですけど…」
俺を信じて雇ってくれてることへの恩返し、それも大きいのかもしれない。
「今こうして屋敷の掃除したり、食事考えたりするの楽しいんです。…まだ手のつけてない部屋だってあるし、お風呂場とかもっと磨きたいし、あとエアコンとか、換気扇とか、それと……」
「あーー、分かった分かった」
そういえば他にもたくさんやりたいことがあるな、と思って並べようとした俺の言葉を、櫻井さんが苦笑しながら遮った。
「いいよ、今はそれで。これからもお前が必要なときは呼ぶし。…けどさ」
「？」
すっ、と立ち上がった櫻井さんが、椅子に腰掛ける俺の横まできて。する、とその手に顎をすくわれて。
「わ…っ⁉」
一瞬、額に柔らかな感触。
顔がみるみる熱くなっていって、そんな俺を見た櫻井さんは、いつもみたいに不敵に笑って。
「秘書、やりたくなったらいつでも来いよ。待ってっから」
そう言い残して階段を上がっていった。
櫻井さんと距離が近づいたのは良かった…けど。
これは危険因子増えちゃった、かも…？
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智帆(プロフ) - ゆかりんさん» コメントありがとうございます！次章移行しましたので、またお付き合い頂けたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月6日 1時) (
レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
智帆(プロフ) - 愛美さん» ご訪問ありがとうございます。こうしてコメント頂けると本当に励みになるのでとても嬉しいです！またお待たせしてしまうこともあるかもしれませんが、更新されていたらまた見に来てやってください(;_;) (2019年1月6日 1時) (レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
智帆(プロフ) - むぎちゃんさん» こちらこそご訪問ありがとうございます！楽しみに待っていただけて本当に嬉しいです。素敵なお話となるようまだまだ頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年1月6日 1時) (レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
智帆(プロフ) - 松智さん» 久しぶりの更新楽しみに待っていただいて、本当にありがとうございます。次章はもう少しさくさく行けたら…と思っておりますのでよろしくお願いします！ (2019年1月6日 1時) (レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
智帆(プロフ) - UsuiSGさん» Usuiさん！お久しぶりです(;_;) 待っていてくださって、またお会いできて本当に嬉しいです。こちらこそ今年もよろしくお願い致します。 (2019年1月6日 1時) (レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：智帆
| 作成日時：2017年5月21日 21時
